やくみつるの「シネマ小言主義」 「魔法拳」で20代に若返ったジャッキー『ナイト・オブ・シャドー 魔法拳』

エンタメ・2020/01/19 07:00 / 掲載号 2020年1月23日号
やくみつるの「シネマ小言主義」 「魔法拳」で20代に若返ったジャッキー『ナイト・オブ・シャドー 魔法拳』

(c)2019 iQiyi Pictures(Beijing)Co. Ltd. Beijing Sparkle Roll Media Corporation Golden Shore Films & Television Studio Co., Ltd. All Rights Reserved.

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 副題の「魔法拳」。うまいこと言ったなと思います。全編CG…じゃなくって、これは「魔法」なんですよ、と。一番の「魔法」は、最新VFX技術でジャッキー・チェンの顔が20代にまで若返っていることでしょうね。

 パンフレットによると、若かりし頃の顔を細部にわたって分析し、繊細にレタッチを加えることで、一切の特殊メークなしに若返りが可能になっているとか。

 本コーナーでもご紹介した前作『ザ・フォリナー/復讐者』では、実年齢60半ばのありのままの風貌で演技派としての新境地を見せてくれました。ただ、老いたジャッキーなんて、やっぱりジャッキーじゃない。ところが本作では、我々の記憶にある若き日のジャッキーがそのまま蘇って、暴れまくっているんですから、ファンにはたまらないんじゃないですかね。

 また、オリジナルが基本のジャッキー映画には珍しく、中国怪異小説の古典『聊斎志異(りょうさいしい)』の原作者がモデル。この文豪が「妖怪ハンター」という設定の主人公をジャッキーが嬉々として演じています。

 中国では超有名な古典らしく、この奇天烈な世界観を共有できるのでしょうが、日本人には妖怪ウォッチのようなゲームの世界にジャッキーが入り込んでいるようにしか見えない。

 それでも、アクションあり、歌あり、ロマンスありのジャッキー映画に長年親しんできたファンは、今やお孫さんがいる世代でしょうから、一緒に見に行くにはピッタリだと思います。ただ、その中間の世代がデートで見たらキョトンかも…。

 話は戻りますが、今回のようにVFXの手にかかれば、若返りも思いのまま。寅さんのように故人を蘇らせて新作を生み出すことも可能になった映画界だと、ブルース・リーの新作だって出てくるかもしれません。そうなると一番割を食うのがジャッキー・チェンでしょうが…。

 自分の高校の後輩に、ハリウッドに進出し、アカデミーの部門賞も受賞したCGクリエイターがいまして、水を表現するために流体力学を学ぶところから始めたそうです。その人とは、母校で毎年行われる、面白い世界で活躍する先輩の話を現役高校生たちが聞くという趣旨の会でお会いしたのですが、子供たちだけでなく、OB同士でも刺激を受けています。

 前回は有名なユーチューバーが来ていました。自分は存じませんでしたが、高校生達はもちろん100%知ってました。デーモン小暮と自分はその会の発起人なんですが、もはやこんなおやじが出る幕ではないのかもなぁ。

__画像提供元(c)2019 iQiyi Pictures(Beijing)Co. Ltd. Beijing Sparkle Roll Media Corporation
Golden Shore Films & Television Studio Co., Ltd. All Rights Reserved.

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■ナイト・オブ・シャドー 魔法拳
監督/ヴァッシュ・ヤン 出演/ジャッキー・チェン、イーサン・ルアン、エレイン・チョン、リン・ボーホン、リン・ポン 配給/ハーク、SDP 1月17日(金)より、TOHOシネマズ日比谷他、全国にてロードショー。
■妖怪の世界から人間を守っていたバリアが壊れ、邪悪な妖怪たちが押し寄せてくる。彼らを捕らえるため、凄腕の妖怪ハンターで小説家でもあるプウ(ジャッキー・チェン)が人間界に送り込まれる。プウは「陰陽の筆」の力を使い、妖怪たちを地獄に封印していく。ある時、村の少女たちが美しい2人の女妖怪によって次々と誘拐される事件が発生。捜査に当たるプウの前に、正体不明の男チュイシャ(イーサン・ルアン)が現れ、女妖怪の1人、シャオチン(エレイン・チョン)はかつては人間で、愛する者のために妖怪になったという悲しい過去を持っていることを知る…。

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漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。
『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)レギュラー出演中

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