菜乃花 2018年10月04日号

センバツ甲子園 王者・大阪桐蔭の連覇を阻む有力出場校の戦力

掲載日時 2018年03月26日 18時30分 [スポーツ] / 掲載号 2018年4月5日号

 球春到来――。90回目の記念大会となるセンバツ高校野球。注目は甲子園大会で初めて導入される「タイブレーク制」と、史上3校目となるセンバツ連覇を狙う大阪桐蔭だろう。
 「今年の大阪桐蔭は、とにかく選手が揃っている。投打ともにスターが多く、同校史上最強とも称される学年が最年長となったチームです。個人的には、投手、内野手、外野手の“三刀流”根尾昂が楽しみ。足も速く、スケールの大きい松井稼頭央といった感じです。『野手・根尾』をたくさん見たいと思いますが、本人は『ショートを守ることで投手のコツが掴めた』と話していました。自身は投手中心で考えているみたいですね」

 高校野球に関する著書を多く持つスポーツジャーナリスト・手束仁氏がそう語る。根尾は昨秋の近畿大会・準決勝で、今大会にも選ばれた近江(滋賀)相手に完封勝利を収めている。それも、16Kという奪三振ショー付き。プロ12球団のスカウトも、「マルチな才能がどこまで伸びるのか?」と、“最優先チェック”であることを伝えていた。
 「1チームから同時にドラフト指名された最多人数は、'77年の法政大など5人でした。当人の進路希望はともかく、それを上回る可能性もあります」(スポーツライター・美山和也氏)

 外野手・藤原恭大もすごい。走攻守3拍子揃った左のスラッガーで、前述の近畿大会・履正社戦では2本塁打を放ち、「本当に高校生か?」とスタンドをどよめかせた。また、守備も巧いため、「プロですぐ通用する」との声も聞かれた。
 「昨秋の神宮大会で背番号1を付けた柿木蓮も注目です。スライダーと落ちるボールを駆使し、それと手首の使い方がいいのでしょう。ボールに伸び、キレがあって、球速以上のスピードを感じさせます。また、控えの左腕・横川凱が駒大苫小牧戦に投げたのも見ましたが、身長190センチの長身から投げ下ろすボール、カーブのキレは一級品でした」(スポーツライター・豊島純彦氏)

 内野手の山田健太と主将の中川卓也、そして、強肩捕手・小泉航平もドラフト候補だ。当人たちの希望もあるだろうが、プロ予備軍7人を擁するスター軍団を破るのは並大抵ではない。
 「7年ぶり10回目出場の東海大相模(神奈川)もいい。森下翔太は昨秋5本塁打と評判通りの活躍でしたが、遊撃手の小松勇輝に注目しています。神宮での作新学院戦の初回、小松はやや中堅寄りの右前打を放つと、躊躇することなく一気に二塁まで走りました。普通ならシングルヒット。足が速く、積極的な走塁が大量4得点の契機になりました。理想的なリードオフマンである小松が打てば、東海大相模は勝ち上がっていくと思います」(豊島氏)

 昨秋の神宮大会の覇者・明徳義塾(高知)や静岡、東邦(愛知)、聖光学院(福島)、創成館(長崎)、明秀日立(茨城)も前評判が高い。
 「明徳義塾は相手のミスに付け込み、スチールやエンドランを仕掛けてきます。エース・市川悠太は強気のピッチングで試合を作ってくれます」(同)

 手束氏は新2年生ながら伝統校・東邦の4番を任された石川昂弥をポイントゲッターに挙げる。さらに、
 「ダークホース的存在なのが日本航空石川。打撃のチームです。昨秋11試合で96得点と破壊力も抜群。一気に波に乗るかもしれません。近江も面白いですよ。新3年生のエース左腕・金城登耶も好投手ですが、神奈川県に遠征した試合では同じ左腕の林優樹が投げていました。スリークオーター気味のフォームで、いわゆるムービングボールを投げてくるんです。実力なら創成館。エースの川原陸はプロ注目の左腕です。少ない投球数で完投でき、それでも奪三振数が2ケタに届いています」

 東北の雄・聖光学院は右肘故障から這い上がったエース衛藤慎也がカギを握る。打線は「同校史上最強」といわれ、東北大会4試合で1試合平均13安打、11得点の破壊力を持つ。神宮4強の静岡は、鈴木翔也、春翔一朗の二枚看板がウリだ。
 「明秀日立のエース細川拓哉はDeNA細川成也の弟。1番・遊撃の増田陸は走攻守3拍子揃っていて、ソフトバンクの松田宣浩に似ています。金沢成奉監督は光星学院時代に坂本勇人(巨人)、北條史也(阪神)らを育てており、能力の高い選手が多い。初出場とはいえ侮れません」(美山氏)

 また、明徳義塾と初戦でぶつかる中央学院(千葉)には“大谷”がいて、関東圏では注目度も高かった。
 「大谷拓海は投手で4番、投げない日は外野を守ります。『大谷』がコールされるだけでスタンドから拍手が沸くんです。こういう選手は貴重ですよね。相馬幸樹監督は社会人・シダックスで野村克也さんの薫陶を受けており、チームもまとまっています」(手束氏)

 明徳義塾の馬淵史郎監督も大谷には一目置いていた。すでに神宮大会で対戦しているが、左打者の大谷が左翼席に運んだ一撃を見て、「あそこまで飛ぶとは…」と驚いていた。星稜・松井秀喜、早実・清宮幸太郎とも対戦してきた名将は、彼らに勝るとも劣らない逸材に警戒を示す。
 「大谷のマイナスを挙げるとしたら、左バッターに投げにくそうにしている点。ボールがシュート回転するので痛打される。でも、右打者には得意のスライダーを外角に決めていました。スリークオーター気味の投球フォームをオーバースローに改造したようですが、シュート回転の悪癖が克服されれば…」(豊島氏)

 中央学院の試合を見た美山氏は“同校2人目の二刀流”西村陸もポイントとなる選手に挙げていた。
 「右サイドスローで、技巧派ではなく、スピードでも勝負できるタイプ。大谷だけではなく、他にも好投手が控えています」
 馬淵監督は「甲子園通算50勝」に王手を掛けている。二刀流退治で、節目の勝利を飾れるかにも注目が集まる。

 16日に行われた組み合わせ抽選会では“身内対決”も話題になった。順調に勝ち上がればの話だが、準々決勝で智弁学園(奈良)と智弁和歌山の“同門”が激突するかもしれない。

 また、今大会では新ルールのタイブレーク制がいきなり見られるかもしれない。過去10年、甲子園大会808試合を調べ直したところ、延長戦にもつれ込んだのは78試合。うち、タイブレーク制の対象となる13回以降に突入したのは10試合。つまり、1.2%の割合でしか新ルールは適用されないことになる(本誌調べ)。
 しかし、そのタイブレーク制となる10試合の内訳は、春9試合、夏1試合。つまり、センバツはタイブレーク制に突入しやすい大会ともいえる。
 「昨年のセンバツでは、『延長15回引き分け再試合が2回もありました。これにより、導入が加速されました』(手束氏)

 タイブレーク制は延長13回に突入した場合に行われる。「無死一、二塁」から開始され、前イニングに7番バッターで攻撃を終了させたら、「6番打者が二塁走者、7番打者は一塁走者」となり、8番バッターが打席に立つ。人為的な措置のため、それまでの試合の流れを遮ることが、導入反対の主な理由だった。
 「センバツは投手力の大会といわれています。無死一、二塁からの試合再開となれば、作戦の選択肢が広がります。重盗、エンドラン、バントで好投していた投手が一気に打ち崩されてしまう事も。守る側もバント処理、牽制、守備位置を変えるサインプレーなど基本的な動きが問われます」(美山氏)

 90回目の記念大会は、新たなドラマを生みそうだ。

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