森咲智美 2018年11月22日号

熱き侍たちが躍動!! メジャーリーグ Times 35歳正念場を迎えた青木宣親

掲載日時 2017年03月23日 16時00分 [スポーツ] / 掲載号 2017年3月30日号

 先週は今シーズン、いくつもの「追い風」が吹く可能性が高い日本人選手としてヤンキースの田中将大を取り上げた。今週は「逆風」が吹きすさぶ中でシーズンを迎えることになる日本人選手として、アストロズの青木宣親を取り上げたい。
 メジャー6年目を迎える青木は今季、新天地のヒューストンでプレーすることになるが、4月3日から始まる2017年シーズンはメジャーリーガーとしての選手生命を賭けた年になる可能性が高い。

★ア軍が青木を獲得した理由

 青木のアストロズ入りは昨年11月8日に、前所属のマリナーズとトレードが成立したからだ。ア軍が青木を獲得した理由は、外野のレギュラーでただ1人の左打者だったラスマスがFAになってチームを出たため、左打者の補強が不可欠になったからだ。
 ただ、青木をトレードで獲得後、ア軍は長距離砲で守備力も高い左打者の外野手ジョッシュ・レディックを4年5200万ドル(約57億円)で獲得。さらに、昨年ヤンキースとレンジャーズで主砲として活躍したスイッチヒッターの外野手カルロス・ベルトランを1年1600万ドルで獲得したので、青木は不要になったかに見えた。だが、ア軍は熟慮の末、青木とも1年550万ドル(6億円)で契約した。どんな判断があったのだろう?
 「メジャーではトレードで獲得した選手を球団の都合で自由契約にすることは、ざらにあることなんだ。アナリストや記者連中は、アストロズがレディックを取った時点で青木との契約を見送る可能性が高いと見ていた。それでもアストロズが青木と契約したのは、レディックが好不調の波が激しいタイプでスランプになると長引くこと、ベルトランが39歳になる大ベテランで故障リスクが高いことなどを考えて、青木を彼らの保険としてキープすることにしたんだ。青木は毎年2割8分台の打率を出している計算できる打者。保険にするにはうってつけだからね」(スポーツ専門チャンネルのアナリスト)
 このような経緯でア軍と契約することはできたが、青木の今季は多難なシーズンになりそうだ。大きな逆風になりそうな要素が二つあるからだ。

■二つの逆風

★逆風1:強力なライバルがいっぱい

 今季、ア軍の外野には強力な人材がひしめいている。
 チームの構想では、外野のレギュラーはライトが長期契約で入団したレディック。センターが昨年29本塁打のスプリンガー。レフトは同じく昨年29本塁打のベルトランだ。ただし、ベルトランは半分ほどDHで起用される可能性が高く、その場合は4人目の外野手である青木がレフトで先発出場する。
 ただ5人目の外野手に守備の名手マリズニクがいるため、ベルトランがDHにまわる場合でも、相手の先発投手が左の場合は右打者のマリズニクがスタメンで使われる可能性が高い。それを考えると、今季ア軍の外野陣に長期故障者が出なければ、青木は主に「9番レフト」で80〜90試合程度にスタメン出場するのがやっとだろう。
 今季、青木が何よりも心掛ける必要があるのは、序盤から高打率をキープすることで、スロースタートは許されない。昨年のようにシーズン序盤の打率が2割2〜3分台に低迷するようだと、ア軍は3Aにハイレベルな若手を2、3人抱えているため、早い時期にマイナー落ちするだろう。解雇される可能性もある。

★逆風2:メジャーで生き残りが難しくなる35歳

 メジャーリーグでは20代後半の選手が過大評価される反面、年齢が30台半ばになった選手は過小評価されて買い叩かれる。イチローのように特別な選手は別だが、松井秀喜は35歳でワールドシリーズMVPになる活躍をしながら、翌年36歳になるという理由だけでヤンキースから再契約を見送られ、前年の半分以下の年俸(1300万ドル→600万ドル)でエンジェルスと1年契約するしかなかった。福留孝介に至っては、成績が下がったわけでもないのに35歳の年は年俸が前年の10分の1以下になり、満足に出番も与えられないままシーズン途中で解雇された。
 青木は現在35歳。メジャーで生き残りが難しくなる“厄年”に差し掛かっている。大リーガーとしての選手生命を終わらせないためには、打率2割8分台、出塁率3割5分台くらいの数字をシーズンを通じてキープし、同時に100試合以上にスタメン出場する必要がある。

★WBC参加は来季への布石?

 青木自身も、大リーグでは30代半ばになると特別な選手以外、生存が難しくなることを重々承知しているはずだ。ア軍でレギュラーが保証されているわけでもないのに、WBC・侍ジャパンに参加したのも、まだまだやれることを日本球界とファンにアピールしたいという気持ちが強いからだろう。30代半ばを過ぎたベテランにとって、メジャーリーグが極端に冷淡であることを考えると、そう思わずにはいられない。

スポーツジャーナリスト・友成那智(ともなり・なち)
今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2017」(廣済堂出版)が発売中。

関連タグ:メジャーリーグTimes 野球

スポーツ新着記事

» もっと見る

熱き侍たちが躍動!! メジャーリーグ Times 35歳正念場を迎えた青木宣親

Close

WJガール

▲ PAGE TOP