紗綾 2019年8月1日号

領海、領空侵犯の裏で今さら日本にラブコール 中国経済メルトダウンの危機 レアアース、太陽光パネル、米国債…

掲載日時 2013年01月15日 11時00分 [社会] / 掲載号 2013年1月10・17日号

 中国の大手商業銀行、中国銀行が「2012年の経済成長率こそ7.8%と、1999年以来の低水準に落ち込む」と予想しながらも、「'13年は投資と消費が経済の緩やかな回復のけん引役となって、8%の成長率になる」との大胆な見通しを発表した。
 しかし、兜町の証券マンは「これぞ大本営発表だ」と苦笑いしている。
 「日本では総選挙のさなかに自民党の安倍普三総裁が『2〜3%の成長率を目指す』とぶち上げた途端に株価が上昇し、円安が進んだ。それに比べれば、いくら政府の強い意向があったにせよ、8%の成長率など信じられません。あの国では個人資産1億元(約13.5億円)超えの企業オーナーの3割が外国籍を取得し、その半数に当たる約4500万人が海外移住を検討しているとの驚くべきデータさえある。言い換えれば、『中国経済の崩壊が目前に迫っている』との危機感を抱いている富裕層がそれだけ多いのです」(同・証券マン)

 中国の誤算を象徴するのは、'10年9月に尖閣諸島で中国漁船の衝突事件が発生した際、格好の“対日制裁カード”に使ったレアアース(単体として分離することが難しい希土類元素)だ。中国は世界一の産出国であり、ハイブリッド車の高性能モーターなどに欠かせないことから、最大の輸入国だった日本企業は真っ青になったが、それも今や昔のこと。背に腹は代えられなくなった日本企業が“脱中国”に舵を切ってカナダやベトナムなどからの調達と代替品の開発を急いだ結果、中国ではレアアースの需要が激減。価格下落から操業停止に追い込まれる企業が相次いだ。結果、日本に対する“切り札”としての意味を成さなくなり、126社あるレアアース関連企業の大半は「倒産の危機に陥っている」(情報筋)のだから世話がない。
 「日本政府が尖閣諸島を買収した直後、中国では反日デモが荒れ狂いました。そんなニュースに隠れていましたが、中国最大のレアース会社が生産停止を延長する事態に追い込まれた。たまりかねた中国政府は、レアアースの輸出枠拡大を打ち出したのですが、既に欧米企業の大半は日本にならって“脱中国”にシフトしているため、今なお供給過剰のアリ地獄にもがいている。制裁カードで対応に苦慮した日本企業に言わせれば『それ見たことか』ですよ」(同)

 一方、再生可能エネルギーの目玉とされる太陽光発電にも、不吉な観測がくすぶっている。これまた中国は、太陽光パネルでも圧倒的存在感を誇ってきたが、安値攻勢でEUや米国企業を危機的状況に追い込んだ結果、反ダンピングと反補償金調査のターゲットに上がり、今や存亡の危機に直面しているのだ。
 「中国にとって再生可能エネルギー先進国のEUや米国は願ってもないお客さんでしたが、あまりの安値で彼の国のライバルメーカーを淘汰させたことから血祭りに上げられようとしている。これに悲鳴を上げた中国メーカーが、あの反日デモを忘れたかのように『もう頼れるのは日本しかない』と、激烈なラブコールを送っている。日本政府はEUの何倍もの補助金を支給しているため、中国メーカーには『大判小判がひしめく宝の山』にしか見えないのです」(パネルメーカー関係者)

 日本政府は'12年7月から、再生可能エネルギーの買い取り制度をスタートさせた。国際的にも割高な価格に設定したことから、メガソーラー事業に参入する企業が相次ぎ、当然これを知った中国メーカーが「価格の安さでは折り紙付きの当社の太陽光パネルを使えば、もっと儲かる」と積極果敢な営業活動を展開した。むろん、中国メーカーとて日本人の冷ややかな目は承知しているが、中国のトップ企業でさえ「過剰な生産設備を抱えて倒産の危機に直面している」(前出の関係者)ことから、ドル箱とにらんだ日本市場に擦り寄っているのが実情なのである。

 世界第2位の経済大国も、一皮めくれば危うい限りということだが、その前途を暗示するこんな話もある。
 米財務省が年末12月17日に公表した中国の米国債保有額は、1兆1600億ドル(約97兆4400億円)と、やはり海外勢では最大だった。しかし、日本の保有額も1兆1300億ドル(約94兆9200億円)と、過去最高を記録。年初来の増加額では、日本の767億ドルに対して中国が96億ドル。米財務省は、過去の増減などを考慮した上で「日本が2013年2月に、米国債保有で中国を抜いてトップに躍り出る」と予想をしたのだが、その意味するところこそ、中国経済の崩壊観測に他ならない。
 「明言こそ避けましたが、中国バブルが早々に“メルトダウン”を起こす。その場合、海外から資金を引き上げざるを得ず、米国に対するけん制カードの意味があった国債だって例外ではなくなる、と見抜いたに違いありません。まして尖閣問題で日本と局地的なドンパチを演じれば、発足間もない習近平体制は足元から大揺れする。中国経済の実態が“張り子の虎”だったとわかれば、中国に対する世界のイメージは一変し、投資マネーはサッサと撤退します」(投資銀行役員)

 かねて米証券取引委員会(SEC)は、米国に上場する中国企業が不正会計を繰り返しているとして、不信感を募らせたものである。そして今まさに、中国バブル崩壊に備えたシフトともいえる構えを見せ始めているのだ。その一方で、領土問題とは裏腹に、中国企業は日本に恥も外聞もない“秋波”を送っている。
 前出の投資銀行役員は、「しかし彼らは、商売のためなら土下座もいとわない」と警戒する。シタタカな中国が、このまま沈むとは思えないということか。


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