“アベノミクス”に浮かれる裏でリストラ加速。日本の“ものづくり技術”が海外大量“再”流出!(2)

社会・2013/03/02 11:00 / 掲載号 2013年3月7日号

 富士通だけではない。次いでパイオニアが6月末までに、国内グループの正社員と派遣社員を合わせて800人削減すると発表した。役員報酬や社員の給料も減額することで、来年3月期に約100億円の固定費を減らす効果があると見込んでいる。
 こんなことが続けば“経済再生”“デフレ脱却”“給料アップ”など、見果てぬ夢で終わりかねない。問題は、定期的に調査してきた東京商工リサーチでさえ正確に反映しきれないケースが多々あることだ。

 パナソニックは一昨年4月から昨年9月末までに約3万8000人を削減し、今年の3月末までに、さらに8000人を削減する。複数年度にまたがっての人減らしは、実態が統計に出にくいのだ。シャープにしても、昨年秋に行った希望退職者募集に、想定した2000人を大きく上回る社員が殺到したことから、締め切りを繰り上げたにもかかわらず、“難破船ネズミ”が2960人に達した。前年の早期退職などと合わせると、すでに1万人に達するとみられる。
 同様のケースは決して珍しくなく、ルネサクエレクトロニクス1万4000人、リコー1万2000人、TDK1万1000人、ソニー1万人、NEC1万人と、日本を代表する企業で突出した数字が並ぶ。まさに死屍累々の図だが、これとてもデータが集めやすい過去1、2年にさかのぼってのことだ。むろん、この中にはタコ部屋に隔離されて自主退職を迫るなど露骨なケースは含まれていない。

 注目すべきはリストラの犠牲になった面々の身の振り方だ。ソニーOBはこう証言する。
 「かつてソニーの優秀な技術者は、サムスン電子に請われて週末になると韓国へ飛び、彼らの技術指導に当たって結構な収入にありついたものです。そこへソニーが情け容赦ないリストラ路線を突っ走ったのを知ったサムスンは、高給をエサに彼らを次々と引き抜いた。今、サムスンが日本の電機業界を凌駕しているのは、その功績に他なりません。しかも引き抜かれたソニー出身者の大半は、お役御免で“追い出し”を食らっているのです」

 このデンで行くと、人減らし策に手を上げたパナソニックや富士通、NECなどの技術者が首尾よく海外企業に再就職できたところで、サムスン電子に転じたソニーOBの二の舞いを演じないとの保証はない。しかし、そんなことにはお構いなしに、100社を超える上場企業が人材の切り捨てに踏み込みそうなのだ。
 「企業が海外進出を加速すれば、国内の産業空洞化に拍車が掛かると懸念する声も聞かれますが、一方で大半の経営者は、リストラの大嵐が技術立国の屋台骨を直撃することに気付いていない。第一、企業が守るべき最大の財産は、汗水たらして働いてくれる社員、すなわち人材です。それなのに、平気で人減らしに走る社長に、経営者の資格などありませんよ」(経済記者)

 どうやら「アベノミクス」の正体は“働く場所があるだけマシ”ということなのかもしれない。

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