〈男と女の性犯罪実録調書〉③母親と息子の“地獄の日々”

官能・2020/07/02 00:00 / 掲載号 2020年7月9日号

 最後に足がついたのは、ひょんなことからだった。飲食店に勤める顔なじみの女性と口論になり、車内で強引にキスなどをしたところ、女性が怒って警察に駆け込み、強制わいせつ容疑で逮捕されたのだ。

 その捜査過程で、佐橋の指紋やDNAが採取され、おびただしい余罪が発覚した。佐橋は逮捕時に約70件の犯行を認める上申書を提出していたが、自分の犯罪が「無期懲役」にもなり得る重罪と知ると、犯行を否認。居直って、調書作成にも協力しなくなった。

 検察側は物証がある15件について起訴した。

 佐橋は公判で「冷たい両親に育てられて、こんな人間になってしまった」と同情を引こうとしたが、検察側は「高額所得者を夢見て高望みし、現実逃避してきたエゴイズムの権化」と非難し、佐橋の母親を検察側証人として出廷させた。

 佐橋の母親は泣きながら「息子との地獄の日々」について語った。

「息子にカウンセラーを付けたこともあったし、病院に入院させたこともあったけど、ここまで来てしまって…。愛情をかけて育てたつもりでも、受け取る本人がそう感じなければ、どうしようもない。拘置所から送ってきた手紙の中でも『助けてください』と言いながら、『ここまで導いたのは親です』と書いていた。息子には無期懲役を望んでいます。もし、出て来たら同じことを繰り返す。妹は怖がって身を隠している状態だし、『お父さんやお母さんは死んじゃうからいいけど、私はあの人が出てきたら、どこへ逃げたらいいの…』と怯えている。妹にこの子を託すことなんてできません。もう息子には刑務所の中で静かに生きてもらいたいです」

 裁判所は「被害者の気持ちを一顧だにしない、鬼畜にも劣る犯行。反省の態度と意欲にも欠けており、終生、贖罪の日々を送らせるしかない」として、佐橋に無期懲役を言い渡した。

 佐橋は事件を起こした原因について、こんなことを語っていた。

「大学受験のために8年も浪人し、自分は社会からポツッと飛び出している感じだった。周囲との差がどんどん開き、孤立している状態が苦しかった。みんなと同じ普通の青春が送れなかったから、レイプ魔になった。親ならこの苦しさを分かってほしかった…」

 あまりにも身勝手な男の甘ったれたセリフである。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

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