水利権・不動産をしゃぶり尽くす 東電を標的にした中国政府系ファンドの黒い魂胆(1)

社会・2011/06/19 11:00 / 掲載号 2011年6月23日号

 「狙いはマネーゲームか、それとも秘めた魂胆があるのか」−−。今年3月期の東京電力の第8位株主に「SSBT OD05 オムニバス・アカウント・トリーティ」なる、耳慣れない投資ファンドが登場したことが憶測を呼んでいる。保有株数2408万株(約1.5%)。生保やメガバンクなど、以前からの東電株主と肩を並べる異色の大株主の登場である。
 この投資ファンドの常任代理人は香港上海銀行東京支店で、住所はオーストラリアのシドニーとなっているが、実際には「中国政府系ファンド」との見方がもっぱらだ。

 むろん、一党独裁の中国政府のこと。政府系ファンドであるからには、株式取得にも国家の意向が反映される。そのため、東電の大株主に登場した「オムニバス」には、中国の国営電力会社「国家電網公司」の資金が相当注ぎ込まれているようだ。
 「資産16兆円を誇る中国の国策電力会社が東電に集中投資したからには、大きな見返りを期待して当然です。実際、日本政府は口にチャックを決め込んでいますが、東電に対して債権の大量引き受けのラブコールを送っているらしい。日中友好と言えば聞こえはいいのですが、大株主として東電=日本政府に恩を売れば、より大きい果実が将来にわたって得られるとの魂胆が透けてくるのです」(関係者)

 機を見るに敏というのか、確かに中国マネーの“凄み”は筋金入りだ。今年の3月30日、原発事故でストップ安が続き、文字通り“ボロ株”と化した東電株に大量の買い注文が入った。取引終了直前に1株466円で4000万株、すなわち186億円を投じて東電株を一気に取得した投資家が現れたのである。市場関係者が苦笑する。
 「後で分かったのは、香港の投資ファンドが買い本尊だったことです。あの大量買いに、東電の売り崩しを狙って空売りを仕掛けてきた投資家が大引け後の時間外取引や翌日の朝に慌てて買い戻し、株価が上昇したタイミングを見計らって大半を売り抜けた。このフェイント攻撃でボロ儲けしたのだから、油断も隙もありません」

 この投資ファンドと、東電の大株主に躍り出た「オムニバス」=中国の国家電網公司は別組織らしいが、海外のファンドに詳しい筋は巧みな連携プレイの可能性を示唆する。曰く「4000万株を市場で売り出せば大暴落するが、実際にはそうならなかった。将来の大きなリターンを期待したオムニバスが途中で買い出動し、香港ファンドの出口戦略を支えたからではないか」と深読みする。

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