葉加瀬マイ 2018年11月29日号

話題の1冊 著者インタビュー 河合雅司 『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』 講談社現代新書 760円(本体価格)

掲載日時 2017年10月01日 15時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年10月5日号

 ――2016年から始まる『人口減少カレンダー』には数々の衝撃的な事実が記されています。一番危惧するものは何でしょうか?

 河合 高齢者数がピークを迎える『2042年問題』ですね。高齢者は現在より500万人程増えて3935万人となります。これに合わせて医療や介護といったサービスを増やさなければならない。それだけでも大変なのに、その頃の高齢者というのは、就職氷河期世代です。その前の世代もリストラにあったり、勤務先が倒産したりで、低年金者、無年金者が多数を占めることが予想されています。
 一方、少子化で若者は減ります。『少なくなった若者が貧しい高齢者を支える』、そんな社会の到来を危惧しております。

 ――日本よりも少人口で発展している国もあります。違いは何でしょうか?

 河合 大きな違いは、日本の高齢化スピードの速さです。高齢化率が7%超(高齢化社会)から14%超(高齢社会)になるまでに要した年数を各国と比較しますと、ドイツは40年、アメリカは72年、フランスは115年です。これに対して、日本はわずか24年なんですね。しかも日本の場合、同時に少子化もかなりのスピードで進んでいます。これでは社会にひずみが生じるのも当然のことでしょう。
 若い労働力の確保が難しくなり、人口も減ると、これまで成功してきた『大量生産・大量販売』というビジネスモデルが成り立たなくなります。むしろ今後は、個々の製品やサービスに付加価値を付けて少量生産でも高く売る道を模索すべきでしょう。
 お手本は、伝統産業が世界から高い評価を受けているイタリアです。日本も伝統に磨かれた職人の技術力を生かし、地方の企業が海外と直接つながってビジネスをすることです。そうした国を目指せば、人口が減っても豊かさは維持できると考えています。

 ――人口減少問題をまだ重要な問題と捉えていない人が多いです。私たちが改めて認識しなければならないことは何でしょうか?

 河合 残念ながら、われわれが生きている間に、日本の人口減少や少子化に歯止めがかかることはないでしょう。なぜなら、子供を産める若い女性の数が激減してしまうからです。まずは、こうした『不都合な真実』を受け止めなければなりません。
 その上で対策を考えた時『コンパクトな社会への作り替え』が必要なことが分かってきます。今後、われわれに求められるのは、変化を恐れず『戦略的に縮む』という勇気を持つことだと思います。
(聞き手/程原ケン)

河合雅司(かわい・まさし)
1963年名古屋市生まれ。中央大学卒業。産経新聞社論説委員、大正大学客員教授。内閣官房有識者会議委員、厚労省検討会委員、農水省第三者委員会委員、拓殖大学客員教授などを歴任。

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