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友成那智 メジャーリーグ侍「007」 青木宣親が打率低迷でレギュラー落ちの危機!

掲載日時 2016年05月24日 14時00分 [スポーツ] / 掲載号 2016年6月2日号

 アメリカンリーグ西地区所属のシアトル・マリナーズは、メジャーでもっとも長い間プレーオフに進出していない球団だが、今季はオーナーが任天堂から地元の投資家グループに変わったという発表があった4月下旬から好調の波に乗り、同地区の首位を走っている(5月12日現在)。
 この快進撃に多大な貢献をしているのが、昨年までソフトバンクで活躍した李大浩だ。今のところ「左投手用の一塁手」という位置づけのため、先発出場するのは3試合に1度程度で出場機会は限られているが、チャンスに滅法強く、4月13日に代打サヨナラ本塁打(ツーラン)、5月4日には勝ち越しツーランを放ち予期せぬヒーローになった。

 李は昨年11月上旬、メジャーに挑戦するためソフトバンクには戻らないことを宣言した。'15年に韓国リーグからパイレーツに移籍した姜正浩(カン・ジョンホ)がパワフルな打撃で大活躍したため、メジャーの数球団が韓国人の長距離砲獲得を検討しており、実績十分の自分には必ずいいオファーが来ると思っていたのだ。
 しかし、韓国代表チームの3番打者・金賢洙(キム・ヒョンス)にはオリオールズから4年1200万ドル(13億円)、5番打者の朴炳鎬(パク・ビョンホ)にはツインズから2年700万ドル(7.5億円)のオファーがあったが、4番打者の李大浩にはどこからもオファーが来なかった。最大の原因は、パワーはあっても、肥満体で敏捷性に欠けるため、指名打者でしか使えないと見なされたからだ。それに加え、すでに33歳と「適齢期」を過ぎていたことも災いした。

 渡米して売り込みを図ったが、1月下旬になってもメジャー契約してくれる球団は現れなかった。そこで彼はプライドを捨ててマリナーズにマイナー契約で入団。メジャーのキャンプに招待選手として参加し、オープン戦で好成績を出して開幕メンバーに入ることに一縷の望みを託した。
 オープン戦は前半、メジャーの投手にタイミングが合わず打撃成績が低迷。後半戦に入ってやや持ち直したが、それでも2割6分4厘、1HR、7打点という平凡な数字に終わった。しかし「左投手用の一塁手」の座を争った2人の打者がともに不調だったため、幸運にもメジャーの開幕メンバーに入ることができた。
 開幕後、李大浩は低く評価された鬱憤を晴らすかのようによく一発が出て、評価が急上昇。一方、右投手用の一塁手として起用されているアダム・リンドは打撃不振にあえいでいる。そのため、マリナーズの首脳陣はリンドより李を優先的に使うことを検討中で、今後、出場機会が増えることは確実だ。

 期待されるのは20本塁打だ。
 マリナーズの本拠地セーフコフィールドは球場が広いうえ、風がレフトからライトに吹くためレフト方向への打球が伸びない。『右の長距離砲の地獄』と言われることもあるほどだ。そんな不利な条件の中で李大浩は「9.2打数に1本」という驚異的なペースでアーチを生産している。今季終了後FAになれる契約になっているので、20本の大台に乗せれば、今オフ、3年3000〜4000万ドル(32〜43億円)レベルの契約をゲットできるだろう。

 青木宣親は開幕からトップバッターに固定されているが、打率が低空飛行を続けていて5月12日時点の打率は2割3分8厘。この状況が続くと、レギュラーの座が危うくなるのは必至だ。
 これまで任天堂が筆頭オーナーだったマリナーズでは日本人選手が優遇される傾向があったが、4月下旬、任天堂は所有するマリナーズの株式の大半を14億ドル(1500億円)で地元の投資家グループに売却し、球団経営から撤退した。

 マリナーズは野球に興味のない任天堂の総帥・山内溥氏('13年に死去)が球団を所有。米国における自分の利益代表であるハワード・リンカーン氏(任天堂アメリカ元社長)と球団買収の際、功のあった弁護士チャック・アームストング氏に球団経営を丸投げしていた。しかし、彼らは野球ビジネスのプロではないため臨機応変な運営ができず、シーズン中のトレードを行わずにプレーオフ進出を逃がしたことが度々あった。
 先月、任天堂から球団を買収した投資家グループのリーダー、ジョン・スタントン氏はやる気満々で、自ら球団社長に就任。7月末のトレード期限までに、人の入れ替えを積極的にやっていく方針を表明している。
 マリナーズの3Aでは若手外野手のロメロが4割近いハイアベレージを出しているので、球団首脳としてはメジャーに引き上げて出場機会を与えたいところだ。青木の打率が6月になっても低迷しているようだとトレードの可能性が浮上するかもしれない。

ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。

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