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熱き侍たちが躍動!! メジャーリーグ Times ローテ落ちの危機に瀕する2年目の前田健太

掲載日時 2017年05月03日 15時00分 [スポーツ] / 掲載号 2017年5月11・18日合併号

 ドジャースの前田健太が不振にあえいでいる。最初の先発が5・0回を投げ失点3。2度目が5.0回を投げ失点4。3度目は4.0回を投げ失点4と、いずれも先発の責任を果たせずKOされている。4月20日時点の防御率は7.07というひどい数字で、QS(6イニング以上を自責点3以内)は1つもない。
 問題なのは80球前後で交代させられていることだ。メジャーリーグの先発投手の交代の目安は100球である。

 なぜそのようなことになったのか?
 答えはハッキリしている。打順が3回り目になると、急に打たれ出すのが常態化したため、ロバーツ監督とハニカット投手コーチが80球を超えると危なくなるという固定観念を持つようになったからだ。

 マエケンの3度目の登板となった4月15日のダイヤモンドバックス戦で、ロバーツ監督は4回終了時点で4失点のマエケンを躊躇なく引っ込め、ロングリリーフ要員のA・ウッドにスイッチしているが、試合後「今日ははじめから、ウッドに長いイニング投げさせるつもりだった」と語っており、マエケンに対する信頼のなさを浮き彫りにした。
 同監督は日本人投手が嫌いなわけではない。それどころか、彼自身が日本人とのハーフであるため(母親が沖縄出身の日本人)、日本人びいきで知られ、現在もマエケンの登板間隔をできるだけ長くして、好結果を得られるよう配慮してくれている。それなのに、マエケンの方が結果を出せない状態が続いているのだ。

 このまま冴えない投球が続くと、待ち受けているのはローテーション落ちである。他球団ならシーズン序盤、先発の責任をほとんど果たせない状態が続いても、前年16勝の実績があれば、リリーフに降格することはまずない。しかし、メジャー1の金満球団であるドジャースでは、そうはいかない。
 先発要員には、生え抜きの大エース、クレイトン・カーショウのほかに、豊富な資金力にものを言わせてFAで獲得した実績のあるベテランが3人(ヒル、カズミア、マッカーシー)、アジアから来た各国のエース級だった投手が2人(前田健太と柳賢振)、トップレベルの実力を備えた若手が2人(ウリアス、A・ウッド)いて、8人の投手が先発の5つの椅子を争う構図になっている。

 現在(4月20日時点)は、ヒルが指のマメで故障者リスト入り、ウリアスがキャンプ中に感染症に罹って出遅れたため3Aで調整登板中、カズミアが球速の低下でキャンプを延長してトレーニング中である。
 そのため、ローテーションにはカーショウ、マエケン、マッカーシー、A・ウッド、柳の5人が入っているが、5月中旬までにウリアスとヒルが復帰するのは確実だ。
 そうなるとドジャースは、マエケンではなく、故障明けの柳をロングリリーフに回すか、故障者リスト入りさせて、ウリアスをローテに復帰させるだろう。ウリアスは将来のエース候補で、球団首脳は先発限定で使うと明言している。ロングリリーフで使われる可能性はない。

 問題は、ヒルが故障者リストから復帰した時の扱いだ。DL入りしたのは、中指の先端にできた、しつこいマメのためだ。そう長くかかる故障ではない。
 ただ、球団は復帰しても、しばらくロングリリーフで使ったうえで、先発ローテに復帰させることを検討している。実力はトップレベルだが、スタミナに問題があるベテランなので、シーズン後半からプレーオフにかけてフル回転できるよう、前半は消耗を少なくしておこうと考えているのだ。

 しかし、マエケンが5月になっても復調せず、防御率が5点台に留まっているようだと、球団の方も暢気に構えていられなくなる。マエケンをロングリリーフに回してヒルをローテに復帰させるだろう。
 それを避けるためにもマエケンは、何が何でも5月中旬までに防御率を4点台に下げる必要がある。

 リリーフに回されることは、マエケン本人にとっても経済的なダメージが大きい。ドジャースとの契約は、固定給が年300万ドルで、先発で年間32試合と200イニングをクリアすれば1000万ドルのインセンティブ(付加給)が支払われる仕組みになっている。昨季は試合数が32試合に達したが、イニング数は172だったので、支払われたインセンティブは890万ドルで、固定給と合わせて1190万ドル(13億円)稼ぐことができた。しかし、リリーフにまわるとこの付加給がほとんど望めなくなるので年収が3分の1になってしまう。
 それを避ける意味でも、マエケンはこれからの1カ月ほどが踏ん張りどころだ。

 今季開幕から失点が多くなっている最大の理由は、生命線である変化球の制球が悪いことだ。3試合目までに食った3本の本塁打はチェンジアップ、カーブ、スライダーだった。特に、昨年メジャーでもトップレベルと評されていたスライダーが抜けることが多く、ピッチングを苦しくしている。復調はこのスライダーが甦るかどうかにかかっている。

スポーツジャーナリスト・友成那智(ともなり・なち)
今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2017」(廣済堂出版)が発売中。

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