菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 菅野久美子 『事故物件めぐりをしてきました』 彩図社 619円(本体価格)

掲載日時 2016年05月16日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2016年5月26日号

 −−数々の事故物件を訪れていますが、やはり通常の部屋とは違った雰囲気がありますか?

 菅野 死体発見翌日の賃貸住宅を初めて見に行ったときに、死臭の洗礼を受けました。部屋には入らず外から見ただけなのですが、動物の死骸の獣っぽい臭いと、糖尿病の人の甘酸っぱい臭いを、足して割ったような臭いがフロア中に充満しているんです。雰囲気というよりも、まずは強烈な臭いにヤラれましたね。また、孤独死のあった廃墟のような団地の事故物件に入るときは、少し背中が寒くなるのを感じました。本書では、私自身が練炭自殺のあった土地の建売住宅を購入しようとした顛末についても触れています。土地や建物の購入となると、ほとんどの人にとっては一生で1度の大きな買い物ですから、購入の際は、事故物件の可能性も十分考慮していただきたいと思います。

 −−公営や民間で「事故物件の告知義務」が異なるそうですが、見分けるコツはありますか?

 菅野 公営住宅やURの場合は、事故の内容にかかわらず1人目に限っては必ず告知し、家賃が1年間、もしくは2年間割り引かれます。しかし、民間のアパートやマンションでは、殺人や自殺があった物件は1人目に告知するのは慣例になっていますが、孤独死に関しては告知されることは少ないのが現状です。見分けるコツとしては、まず部屋が他の部屋に比べてきれいにリフォームされているときは、事故物件の可能性を疑った方がいいかもしれません。また、アパート名やマンション名が急に変更したケースなども、悪いイメージを払拭するために変わったというケースも考えられます。事故物件公示サイト『大島てる』で、事前に事故物件の情報をリサーチするのも有効です。

 −−事故物件専門の不動産屋があるとは驚きました。家賃が安いなどのメリットがありますが、一般的に推奨できるものでしょうか?

 菅野 やはり、事故物件で一番問題になるのは心理的瑕疵、つまり人が亡くなった部屋という問題を住む人がどう捉えているか、いわば個々の死生観です。浴室で自殺のあった物件に住んでいる男性は、引っ越し日が近づくにつれ、先住者の霊を夢に見るようになったと言います。逆に、バンドマンが首つり自殺した賃貸物件を相場の約半額で借りていた30代のフリーター男性は、霊的な現象はまったく信じない人でした。きれいにリフォームされ快適そのものだったため、部屋を借りる際は「事故物件をオススメしたい」と言っています。(聞き手/程原ケン)

菅野久美子(かんの くみこ)
1982年、宮崎県生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業。今はなきアダルト系出版社・司書房の編集者として人妻雑誌やSM雑誌に携わった後、2005年よりフリーライターとして活躍中。

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