菜乃花 2018年10月04日号

森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 急速に進む中高年非婚

掲載日時 2016年11月19日 14時00分 [社会] / 掲載号 2016年11月24日号

 昨年行われた国勢調査の基本集計結果が発表された。そこに現れていたのは、急速に進む中高年非婚という現実だった。
 国勢調査では、配偶関係が、(1)有配偶、(2)未婚、(3)死別、(4)離別、(5)不詳の5区分で集計されている。不詳というのは、調査をしても結婚しているのかどうかを答えなかった人のことで、たいていの場合は、結婚していない。そこで、不詳を含む有配偶以外の人を非婚と定義して、年齢別に非婚率をみると、中高年のところで大きな変化がみられたのだ。
 30歳台後半(35〜39歳)の非婚率は、40.6%と5年前と同水準だったが、40歳台前半は+1.6%ポイント、40歳台後半は+4.1%ポイント、50歳台前半は+4.0%ポイントと、非婚率の割合が大幅に上昇しているのだ。
 人口学では、50歳時点で結婚していないと、生涯未婚として扱われる。40歳台後半の非婚率は34.2%だから、もはや3分の1以上の男性が生涯未婚に追い込まれる時代がやってきているのだ。

 政治家や政府は、少子化対策のため、保育所の拡充など、さまざまな子育て支援策を講じている。しかし、結婚したカップルは、そこそこ子供を産んでいる。例えば、厚生労働省の「出生動向基本調査」によると、2010年の夫婦の完結出生児数は1.96と、結婚したカップルは、一生の間にほぼ2人の子供を産んでいるのだ。
 30歳台後半の非婚率が横ばいになったことからも分かるように、晩婚化の流れは頭打ちになっている。いまや少子化の大部分の原因は、生涯未婚化になっているのだ。

 なぜ結婚できないのか。その最大の理由は、所得格差の拡大だ。
 '12年度の国土交通白書の調査によれば、20代から30代の男性の場合、年収が600万円までの区分では、年収が上がれば上がるほど、結婚している率が高くなっている。
 非正社員が該当する年収100万円から200万円の階層では、94.2%が未婚だ。同時に、全体の73.1%が恋人もいないとしている。ちなみに、年収800万円から1000万円の階層では、未婚率は56.0%、恋人がいないのは28.0%にすぎない。
 つまり、いまの日本は、高い収入を得ている勝ち組以外は、結婚はおろか恋人も持てない社会になっているのだ。

 いま保育所では、0歳児保育に、1人当たり年間400万円以上の税金がつぎ込まれている。それが悪いとは言わないが、結婚して子供を産めるのは、大部分が勝ち組だ。そこに膨大な税金がつぎ込まれる一方で、結婚や恋愛の機会さえ与えられていない若者には、一銭も税金が投入されていない。それどころか、彼らを何とかしようという議論さえほとんど行われていないのが現状だ。
 いまや役人も、加えて役所が制度改正の意見を聞くために審議会に呼ぶ有識者も、すべて勝ち組ばかりだ。このまま、勝ち組の、勝ち組による、勝ち組のための政治をやっていたら、社会が崩れ落ちていくのは当然だろう。
 昨年行われた国勢調査では、歴史上初めて総人口が減少した。それも、国が崩れゆくことへの警告なのかもしれない。

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