三越伊勢丹ビックへ賃貸の理由

社会・2011/06/21 11:00 / 掲載号 2011年6月23日号

 三越伊勢丹HDが「新宿三越アルコット店」(旧三越新宿店)の営業を来年3月末で終了し、建物を10年間にわたりビックカメラに一括賃貸することになった。

 今年3月期の売上高は前期比5%減の114億円と業績不振が続いていることを閉鎖の理由に上げ、石塚邦雄社長は「賃貸で得た資金を伊勢丹新宿本店や三越日本橋本店などの改装に活用する」と説明する。しかし関係者は、三越出身である石塚社長の冷酷な“処世術”を指摘する。
 「三越は成長著しい家電量販店への売却・賃貸を新手の出口戦略に据えている。その脈絡で捉えれば今回の商談は極めてわかりやすい。恐らく、地方で業績のパッとしない三越店舗は次々とターゲットになる。いくら三越が伊勢丹の軍門に下ったとはいえ、伊勢丹出身の社長がそんな荒業を駆使すれば三越サイドの反発を買う。内心、石塚社長は『デパートの本筋はテナントへの賃貸ビジネス。それをビル一括で行うことで三越がHDの業績に大きく貢献できる』と自画自賛しているはずです」

 デパートは有力ブランドに売り場を委ねることで安定した家賃収入を得る「不動産業」にのめり込んだ。それがバブル崩壊と消費不況を機にデパートを構造不況業種に陥れ、業界再編が急加速したのはご承知の通り。皮肉にも石塚社長は時流に棹差す「昔とったキネヅカ」路線を踏襲しようというのである。
 「ビックカメラは新宿三越アルコットの賃貸料金を公表していませんが、その前に商談を持ちかけたヤマダ電機には『年間60億円』だったとされています。ただ、ヤマダ電機は新宿東口店があり、店舗が近すぎることから断っている。少しでも高い安定収入を確保することで業績に貢献し、存在感をアピールしたい石塚社長がビックとの商談で値切ったとは考えられません」(三越関係者)

 賃貸ビジネスの妙味に目覚めた石塚社長が“病みつき”路線を一気に突き進まない保証はない。

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