岸田政調会長と石破元幹事長「暗躍」、野党政界再編シナリオ(4)

政治・2020/01/03 12:00 / 掲載号 2020年1月9・16日合併特大号
岸田政調会長と石破元幹事長「暗躍」、野党政界再編シナリオ(4)

石破茂

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 野党合流ドタバタ“舞台裏”

 二階氏はさらに、石破派幹部の鴨下一郎・自民党東京都連会長と、7月の都知事選に向けた連携を確認。菅氏も石破氏側近の平将明内閣府副大臣を重用し、石破氏に秋波を送ってみせた。これらの対応から何が読み取れるのか。

 先の自民党関係者は「総裁選になれば、石破氏の出馬を妨げないということだ。それは公正な総裁選を実施することにつながる。党員投票を実施すると『阿吽の呼吸』で伝えているのではないか」と読む。「菅氏も出馬して決戦投票になった場合、下位の候補が決戦に残った候補に入れる」。こうした内容で気脈を通じている可能性もあるという。

 党員投票では石破氏の1位が見込まれるため、決選投票では菅氏陣営が石破氏に投票することになる。すなわち密約とは「石破政権を誕生させる」内容だということになる。

 石破氏は、菅氏が官房長官として進めてきた政策を継承し、経済政策として成長戦略を組み直す「イシバミクス」を、安全保障政策としては自主防衛に軸足を置く「石破ドクトリン」を推進する。衆院選では「新生日本」をアピールし、圧勝を目指す――。

 安倍首相が憲法改正のために4選を目指すのか。それとも岸田氏が改憲のバトンを引き継ぐのか。あるいは石破氏が「刷新」を掲げて政権を奪取するのか。1月以降、水面下の攻防が激しさを増すのは確実だ。

 では、野党陣営はどう動くのか。

 いま進行中なのは立憲民主党と国民民主党を核とする野党合流構想だ。立民の枝野幸男代表が12月6日、統一会派を組む社民党、無所属議員のグループに「共に戦ってほしい」と合流を呼び掛けた。実現すれば、衆院で120人、参院で60人、合わせて180人の野党第1党が誕生する。

 しかし、合流と言えば聞こえはいいが、枝野氏が想定するのは、立民の政策を全面的に受け入れての事実上の吸収合併だ。国民の玉木雄一郎代表が求める政策や政党名、人事などを巡る「対等な立場」での協議は念頭にない。

 民主党が民進党になり、2年前の衆院選直前に小池百合子東京都知事が率いる希望の党に突然合流。「排除」された議員を救うべく、枝野氏が立ち上げたのが立民だ。その立民は選挙で躍進。惨敗した希望は国民に衣替えし、小沢一郎氏の自由党を加えて今に至る。こうした離合集散の繰り返しに、国民幹部は「何の大義もない」と吐き捨てる。

 何より我慢ならないのは「立民の狙いが国民のカネと組織の吸収にある」(国民幹部)こと。旧民進党がプールした政治資金は国民が継承。多くの地方議員も国民の傘下にある。民間労組が支援するのは国民だ。

 先の幹部によると「衆院選が近いかもしれないのに、立民はカネと手足がなく、幹部は焦っている。でも、国民と合流すれば自由に使えるようになる」というわけだ。国民は政党支持率が1%前後で低迷し、このままでは消滅の道を歩みかねないのも事実。永田町では、憲法や安全保障、原発といった基本政策の違いには目をつぶり、合流することになるとの見方が大半だ。

 全国紙野党担当記者は「国民の民間労組系や参院の一部など、衆参で10人ずつ、計20人くらいは残るかもしれないが、3月までに衆院で100人を超える政党が立ち上がるのではないか」と予測する。「選挙目当ての野合で顔ぶれも同じ」(自民党幹部)との批判はあるが、立民幹部は「100人いれば政権交代を賭けた戦いに挑める」と意気込む。

 論語の「民信無くば立たず」は古来から政治の要諦だ。有権者の信頼をどこまで勝ち取ることができるか、この一点にかかっているのは間違いない。

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