菜乃花 2018年10月04日号

本好きリビドー(140)

掲載日時 2017年02月04日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年2月9日号

◎快楽の1冊
『潜望鏡上げ 〜潜水艦艦長への道〜』 山内敏秀 かや書房 1800円(本体価格)

 著者は防衛大学校卒業後、海上自衛隊に入隊し、'88年に潜水艦「せとしお」の艦長となった。'04年に海上自衛隊を退官した後は潜水艦のスペシャリストとして多方面で活躍し、現在は太平洋技術監理有限責任事業組合理事などを務める。
 過去の著書『潜航』(かや書房)が好評だったことから、続編を望む声が多かった。特に、いわゆる“軍事マニア”の方々にとっては、潜水艦艦長から得られる貴重な情報であるため、前回の出版で多くのファンが生まれた。本著は若手幹部が水雷長から海幕広報班、機関長、副長などを経て、艦長へ昇りつめる長い道のりを描いた物語。今回も期待を裏切ることない、潜水艦内における具体的な業務内容と心理描写が特徴となっている。
 細かい箇所にまで詳細に触れられており、実際に潜水艦とともに人生を歩んできた著者だからこそ書ける内容だ。中でも自分の専門術科を決める指揮幕僚課程の選抜試験の内容や、試験後に受験者間で語られた話などは、実際に体験した人間しか知り得ない内容で、大変興味深い。
 以前、著者に会う機会に恵まれ、艦長という仕事について聞いたことがある。
 著者は40歳のときに艦長になった。年齢における体力と経験のバランスが、艦長という職にはとても重要だと説いていた。
 艦長になるには一定以上の経験がなければならない。同時に年を取れば取るほど体力が落ちてくる。体力が落ち、疲れが蓄積されると、どうしても判断が鈍ってしまう。では、若ければよいのかといえば、そうではない。たとえ溢れるほどの体力があったとしても、経験が及ばないので、適切な判断を下すことは難しい。「40歳が限界だと思う。経験の積み重ねと体力が維持できるギリギリのところ」と著者は指摘していた。
 まだ秘密のベールに包まれている潜水艦の中を知る端緒となる作品だ。

【昇天の1冊】
 史上最強といわれる寒波の襲来で、「寒い!」と嘆いている読者諸兄も多いことだろう。特に、この時期に悩まされるのが頻尿。トイレが近く夜中に何度も目が覚めたり、キレが悪くて残尿感が残ることも少なくない。
 実はこれ、男性更年期障害の症状の一つの可能性があり、放置しておくと前立腺肥大やEDにつながりかねない危険をはらんでいるのだとか…。
 中高年男性特有のそうした悩みに警鐘を鳴らし、改善を促す1冊が『前立腺肥大症をスッキリ治す本』(マキノ出版/1300円+税)である。
 著者の持田蔵氏は、現役の泌尿器科医師。診察・治療に加えて講演なども数多くこなしている、男の強い味方だ。
 セルフケアの一環として、まずはメタボを解消すること、次に効果的な食事法など、前立腺肥大症やED治療の臨床例が載っている。
 また、悩んでいるだけで泌尿器科クリニックの門を叩けないでいる方々に、気軽に相談に訪れるだけでも治療の第一歩になることを提案するなど、親切丁寧な解説が、読んでいて心強い本である。
 こうした問題を、「もう年だから…」と、簡単にあきらめてしまう男性も多い。だが、人生はまだまだ長く、治療を受けさえすれば、若い頃のような元気な下半身を手に入れることも、決して不可能ではないらしい。
 今日から実践できる簡単な体操やトレーニング法も記されている。
 衰えを感じている方は、ぜひ一読を。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

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