菜乃花 2018年10月04日号

いよいよ安保関連法施行 改めて考える自衛隊員「命の値段」(2)

掲載日時 2016年03月30日 14時00分 [社会] / 掲載号 2016年4月7日号

 わが国のPKОは1991年、ペルシャ湾の掃海艇派遣で始まり、'92年6月のPKО法成立で本格的に始動した。以来、東南アジア、中東、アフリカなどに自衛隊員が派遣され、停戦監視、医療衛生、道路や橋などのインフラ整備に従事。現在も南スーダンに陸上自衛隊員が派遣され、同国の戦後復興に寄与している。
 南スーダンに派遣された自衛隊員に給付される「国際平和協力手当」はいくらか。道路整備や宿営地の司令部業務にあたる隊員は1万6000円。物資等の空輸業務に就く隊員は4000円が給付される。
 一方、海上自衛隊が海賊監視に当たっているソマリア沖あるいはアデン湾などでは、派遣隊員には「海上警備等手当」として哨戒任務、護衛艦による船舶護衛に就いた場合は1400円。拠点となっているジブチ共和国の哨戒飛行や空輸に関する地上作業の場合は4000円、それぞれ手当が給付される。

 南スーダンには女性自衛官も派遣されている。現在わが国の自衛官数は約22万6000名。このうち女性自衛官は約1万3000名。わずか6%にすぎない。防衛省は、少子化の中で厳しい一般自衛官の採用と併せて、女性自衛官の採用にも力を入れ、業務の門戸開放も進めている。
 女性自衛官の業務といえば通信、経理、医療衛生、輸送など、いわゆる後方勤務がほとんど。南スーダンの女性自衛隊員も、医療業務などに携わっている。そのため例えば現地女性の分娩に関わった場合、「分娩取扱手当」として1件につき1万円が給付される。

 隊員たちは休日には首都のジュバ市内でショッピングを楽しむ。宿営地にはカラオケもあり、海外の不慣れな活動でたまるストレスを解消している。しかし、何といっても3度の食事ほど楽しいものはない。
 南スーダンの派遣隊員はどのような食事を取っているのか。昨年12月の献立表を見ると、朝食はパンを主食に野菜スープないし味噌汁、サラダや焼き魚、煮物などの副食物が日替わりで付いている。昼食や夕食は米飯が主食だ。きんぴらや納豆、漬物が付くところが日本の自衛隊らしさを思わせる。

 ともあれ、南スーダンは独立してまだ4年ほど。しかも長期内戦の余燼が残り、治安は極めて不安定だ。幸い現在のところ自衛隊員が戦闘に巻き込まれたことはない。だが仮に巻き込まれ、生命を失ったとしたらどうか。このようなケースを想定し、派遣隊員専用のPKО保険がある。三井住友海上火災保険が取り扱い、補償期間は業務遂行のため住居を出発してから帰着するまで。掛け金は1カ月当たり約1万5000円。ただし掛け捨てだ。補償額は、被弾ないし化学兵器による死亡の場合、最高で1億円となっている。
 実はこの他にも防衛大臣より「賞じゅつ金(弔慰金)」として1700万円から最高9000万円が授与される。さらに内閣総理大臣から特別褒賞金として1000万円が上積みされるため、最高1億円が授与される。この上、葬祭金、退職金などが加算されるので、実際の給付額はさらに増す。

 自衛隊員には、さまざまな名目の手当が給付される。だが任務遂行中に死亡しても名誉の“戦死”とはならない。身分はあくまで特別国家公務員であるため、扱いは“殉職”だ。ただし1階級、とくに困難な任務遂行上の場合は2階級特進となり、防衛省がある市ヶ谷台の一角に建つ「殉職者慰霊碑」に氏名と所属部隊が刻まれる。
 常に生命の危険と隣り合わせの自衛隊員たちの“命の値段”。果たしてこれが高いか安いかは、読者の判断にお任せする。

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