菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 田中圭一 『うつヌケ』 KADOKAWA 1,000円(本体価格)

掲載日時 2017年03月19日 16時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年3月23日号

 ――もはや国民病ともいえる『うつ』ですが、田中さんがうつになったきっかけは何ですか?

 田中 2000年まで勤めていたゲーム会社の業績が悪化、給与支払いも滞りがちになりました。お金に困って転職したのですが、そもそも初めから自分に向いていないと分かっている職業でした。本当はやりたくない仕事だったのですが、自分の心に背いて無理やり頑張りました。幸運にも大きな成果を出すことができましたが、その後、周囲の期待も高くなり「さらに頑張らねば」というプレッシャーと「本当はやりたくない仕事なのになぁ」という心の声を無視していたことが「心と身体の不調」として現れました。そして、その後10年にわたって「うつトンネル」をさまようことになったのです。今にして思えば、無理しないで早くに退職すべきでした。

 ――「寒暖差と気圧差に注意!」というツイッターのつぶやきに9000もの反応があったとか。気候の変化がうつに影響を与えるのでしょうか?

 田中 あくまで私の場合ですが、極端な気温差がある季節(3月、5月、11月)に心の状態が悪くなるというパターンが、付けていたデータ(日記のように毎日の心の状態を記録していた)から割り出せました。また、日によって10℃以上の気温差があると、体調や意識のぼやけから始まって、マイナス思考へと発展して、やがてうつに移行するという経験をしました。「うつが来る日は予測できる!」、そんな気持ちからツイッターでつぶやいたところ、賛同してくれる人がたくさんいて、確証を得ました。他に、気圧の変化がダメだという人も多かったので、気温差と気圧差には注意しています。

 ――本書を読んで自分のうつも「楽になった!」という人が続出しています。

 田中 本屋に行けば、うつ病から脱出するための本は数多くあります。しかし、本書はそのような内容ではありません。実際に私と同じようにうつを経験した17人の方に取材して、うつ脱出の体験談をまとめた本です。読んだ方が「この人の体験は自分に近いかも。参考にしてみよう」と思ってくだされば幸いです。また「うつあるある」のようなエピソードが満載の本なので「自分だけが苦しいわけじゃないんだ」とか、「うつを脱出した人がいるということは、出口がある病気なんだ」と感じていただけると本書を執筆したかいがあったと思います。つらく長いうつのトンネルから脱出できた者として、1人でも多くの人が『うつヌケ』できたらと願っています。
(聞き手/程原ケン)

田中圭一(たなか・けいいち)
1962年大阪府枚方市生まれ。近畿大学法学部卒業。大学在学中の'83年、小池一夫劇画村塾に第1期生として入学。最新刊は『田中圭一の「ペンと箸」』(小学館)

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