菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 向谷匡史 『ヤクザ式心理戦に勝つ「ものの言い方」』 イースト・プレス 800円(本体価格)

掲載日時 2016年07月11日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2016年7月14日号

 −−言葉ひとつで印象はかなり変わります。どのように相手の心理を読めばいいのでしょうか?

 向谷 『懇願』か『ブラフ』かに、まず留意します。例えば、借金を申し込まれたとします。「申し訳ないけど50万円貸していただけませんか?」と、下手に出てくる場合は「懇願」で、主導権はこちらにあります。断れば「じゃ、何とか30万円でも」という展開になり、相手とは“駆け引き勝負”にはなりません。要注意は「ブラフ」で、このタイプは“上から目線”で迫ってきます。「よう、50万ほど貸してくれないか」「無理だよ」「じゃ、いくらならいいんだ」と、相手は主導権をキープしたまま迫ってくるため「ゼロ回答」はできなくなり、嫌々でもお金を貸すことになります。対処方法は相手の言葉を受けないで、そっくり返すのです。「俺が借りたいよ。何とかならないか」、これでいいのです。これはお金に限らず頼まれ事も同じです。

 −−向谷さんが「一瞬で優位に立った」言葉を教えてください。

 向谷 編集企画会社をやっていた当時、ある英会話学校に通信教育の企画を持ち込んだときのことです。「成功しますか」と社長が聞くので「自信があります」と答えたところ「じゃ、パードンシェアリング(責任分担)でいきましょう」と言われました。「成功する自信があるならお宅も出資しなさい」というわけです。「嫌です」と言えば、企画に失敗のリスクがあるということになります。私は即答しました。「企画には絶対の自信を持っています。しかし、これに資金を投入するかどうかは高度な経営判断に属することです。バッターがいくらホームランを打つ自信があると言っても、試合に勝てるかどうかは監督采配の問題です。それと同じだと思いますが、いかかでしょうか?」。社長は「分かった」と、うなずいてくれました。

 −−ヤクザ式の言い方をサラリーマンが活用するコツはありますか?

 向谷 ヤクザ式の内容を紳士的に口にすることです。例えば「てめぇ、ケツ持つんだな!」という言い方は「そういうことはないとは思いますが、万が一、失敗するようなことがあれば、お宅様が対処してくださるということでよろしいですか?」と。「吐いたツバ呑み込むんじゃねぇぞ」ということは「承知しました。そう言っていただけると安心です」と、相手が口にしたセリフを復唱して、さりげなく念を押す。相手に言葉尻を捉えられないように、キッチリと話を詰めるのがコツですね。
(聞き手/程原ケン)

向谷匡史(むかいだに ただし)
1950年、広島県呉市生まれ。拓殖大学を卒業後、週刊誌記者を経て作家に。浄土真宗本願寺派僧侶、保護司、日本空手道「昇空館」館長を努め、武道家としての顔も持つ。

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