蝶野正洋の黒の履歴書 ★無観客開催がベストだった東京五輪

エンタメ・2020/04/12 18:00 / 掲載号 2020年4月16日号
蝶野正洋の黒の履歴書 ★無観客開催がベストだった東京五輪

蝶野正洋

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 新型コロナウイルスが世界的に蔓延して、夏に開催予定だった東京オリンピックが延期になってしまった。だけど、俺は無観客でやればいいと思ってたんだよ。

 いま、ヨーロッパやアメリカでは外出禁止になってる地域もあるし、練習もままならない。メダリスト候補の選手たちは、人生を賭けてここまでやってきたはずだから、こんな状況だと、出場したくないという選手もいっぱい出てくると思う。

 でも、トップの選手が参加できなくても、次の誰かが出ればいい。オリンピックというものは参加することに意義がある。だから、参加できる人がいるなら、運営側はそのために万難を排して、開催にこぎつけなくちゃいけない。「競技者ファースト」ってそういうことだと思う。

「観客がいない」というのは、そんなに大きな問題じゃない。俺のプロレスラーとしての経験からだと、会場がデカくなればなるほど、観客は背景になってしまう。お客さんの声援がちゃんと聞こえて、目線も拾えるのは、収容人数が1万人くらいの会場まで。それ以上だと、声援はワーッと響くだけになって、ハッキリ聞こえなくなるからね。お客さんの声援がないとパフォーマンスが上がらないなんていうのは、まだ大きな会場でやったことがないやつが言うことだよ。

 もちろんパフォーマーとしては、声援を意識するよ。応援されている、というのは気持ち的には大きい。でも、普段の練習は観客がいる前でやってるわけじゃないからね。最高のパフォーマンスを出すためには、まわりがどうだろうと自分自身が集中しなければいけないというのを、トップアスリートほど分かっているはず。

 だから、選手がよく言う「観客の応援がなきゃ力が出ない」なんていうのはリップサービスで、観客がいる、いないっていうのは、それほど関係がない。

オリンピックのテーマは人類が1つになること

 それに、オリンピックを延期だの中止だのって揉めてたのは、商業的に関わってる奴らだからね。テレビの放映権とか、スポンサーへの補填とか、もうチケット売っちゃってるとか、全部カネ関係のことばかりだよ。

 だから、サッカーリーグとか、プロ野球を中止するのは仕方がないと思う。選手もプロとしておカネを貰ってるし、ビジネスという面が大きいからね。でも、オリンピックはアマチュアの祭典という建前があるんだから、プロスポーツと一緒に考えちゃだめだよ。

 そもそも、オリンピックというのは、“人類が1つになる”のがテーマでもある。だから新型コロナが蔓延して、世界中が不安になっている今こそ、やる意味があったんじゃないかなって思うんだよ。

 新型コロナは、これからもまだまだ猛威を振るう。だからこそ、オリンピックを開催して各国が新型コロナと闘うという意思を見せて、まだ幸運にもコロナの影響がない世界中の人々にも、これからどう防いでいくかという啓発をするチャンスでもあった。

 まだ新型コロナが収束する気配がない中、東京オリンピックは“ピンチをチャンスに変える”絶好の契機だったんじゃないかな。

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1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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