葉加瀬マイ 2018年11月29日号

買取価格下落で倒産続出 苦悩の太陽光発電業者が生き残る路

掲載日時 2017年12月18日 10時00分 [社会] / 掲載号 2017年12月21日号

 今年10月下旬から、中国の某大手太陽電池メーカーの日本法人(東京都千代田区)の事務所に“もぬけの殻”騒動が起き、改めて“太陽光不況”の深刻さが取り沙汰されている。
 「民間の大手信用調査会社などによれば、ある企業からこの日本法人と連絡がつかないとの情報が入り調べてみると、完全に不在の状態だという。中国の親会社からも特に事務所移転の報告もないことから、騒動となったのです」(電力会社関係者)

 本社は、米ニューヨーク証券取引所にも上場する急成長の中国太陽光企業。従業員はグループ全体で約6000人にのぼり、売上高は約70億円(2015年)。日本法人はモジュール(パネル)などの太陽光部材を販売していた。
 「日本法人は別の企業が従業員や一部業務を引き継いだとの情報もある。つまり、本社の方は増産体制だが、日本では太陽光発電事業全体の陰りから、立て直しと別部門での事業に力を入れるための再編による事務所変更では、とも言われている。いずれにせよ、日本では太陽光発電事業は全体的に低迷状態に陥り、大きな岐路に立たされているということです」(全国紙社会部記者)

 太陽光発電関連企業の厳しい経営環境の理由を経営コンサルタントはこう解説する。
 「日本市場での太陽光発電は、国が定めた買取価格が年々下がっていることが大きく影響している。東日本大震災での福島第一原発事故を契機に、当時の民主党の菅直人政権が積極的に太陽光発電の買取制度を導入した。事業者から1kW40円で電力会社が購入する固定価格買取制度、いわゆるFIT法です。しかし、電力会社が購入するといっても、その原資は一般家庭の電気代に上乗せされる。つまりは、太陽光発電業者の儲けを一般の家庭が負担するというシステムです。再生エネルギーを手放しで喜んでいた一般家庭も最近は徐々にこのシステムのカラクリが分かり始め、反発も強くなり、国は買取価格を引き下げざるを得なくなった。それが、事業者の経営を圧迫し始めたのです」

 '17年度も、買取単価は原則21円で、開始当初の約半分に低下した。このため冒頭の日本法人の騒動や、太陽光発電業者の倒産が続出しているのだ。大手信用調査会社の調べによれば、'17年1〜9月までの倒産は68件で、過去最多とされた昨年の年間65件を9月の時点で上回っている。
 太陽光不況を示す象徴的な倒産は、'16年の日本ロジテック協同組合だ。負債総額は約163億円('16年3月31日時点)。同組合は、'07年11月に設立された事業協同組合で、経産省より特定規模電気事業者(新電力)の認可を取得し電力小売事業に参入。'10年7月、電力供給会社などから電力を購入し始め、組合員に廉価で電力を販売した。東日本大震災以降の相次ぐ原発稼働停止と、'12年に始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度の開始を追い風に急拡大し、'15年3月期は売上高約555億7700万円と驚異的な伸びを見せた。
 「しかし、自前の発電所を持たず、自治体が運営するごみ焼却場発電や、太陽光発電などの余剰電力を購入し、既存の電力会社より1%から8%程度安価にして売るモデルは利幅が薄かった。また、新たな発電施設への資金負担などが重荷となり、資金繰りが悪化。各地域電力会社への買掛金の支払いに遅延が発生し、ついに倒産したのです」(同)

 太陽光発電や再生エネルギー全盛ブームに乗り、十二分な経営基盤もないまま踊った末の倒産劇だった。
 「今年ではZEN POWER(福岡県)の負債約52億円での倒産例が際立つ。同社は太陽光発電モジュールの組立、販売を手掛けていました。'14年12月期の売上高は約74億円と急伸。しかし、ヨーロッパでのモジュール価格の下落でダメージを受けた上、固定買取価格の引き下げで一気に受注が落ち込み、倒産に至ったのです」

 そんな陰りばかりが目立つ太陽光発電事業は、今後、どうなるのか。
 例えば、三井住友建設は出力2600kW、年間発電量290万kWhの『平木尾池水上太陽光発電所』(香川県)を、この11月に完成させたばかりだ。
 「水上の太陽光であれば土地造成費用も抑えられ、周辺に遮るものも少なく熱効率もいいことから、こうした施設は今後、注目される。また、広大な土地にパネルを設置するよりも、戸建てやマンションの住宅、商業施設などの屋根に設置するパターンも増える可能性が高い。それでも買取価格が響くのであれば、東南アジアやアフリカなど、電力後進国への進出となる。原子力・LNG(液化天然ガス)・化石燃料VS再生エネの戦いは、これからが本番です」(事業者)

 国の手厚い保護が薄れつつある中で、民間各事業者は、どう知恵を絞ることができるのか…。

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