菜乃花 2018年10月04日号

本好きリビドー(141)

掲載日時 2017年02月11日 16時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年2月16日号

◎快楽の1冊
『東京どこに住む? 住所格差と人生格差』 速水健朗 朝日新聞出版 720円(本体価格)

 2020年の東京オリンピックに向けて、都心は今回帰しつつある。マンションの建設ラッシュが続き、一極集中は依然として止むことはない。'15年の住民基本台帳人口移動報告(総務省統計局)によると、東京都の日本人人口社会増(転入超過)は8万1696人増。特徴的なのは地方から都心へ、そして都心の中でもより中心地に人気が集まっている。
 本書の著者は東京の住宅事情の常識だった「西高東低」が変化し、都心回帰が進んでいると主張する。かつて進学や就職で上京した時の部屋選びの第一候補が「中央線」だったという読者も多いだろう。阿佐ヶ谷、高円寺、荻窪、西荻窪、中野。しかし、今や東京の人口減少ワースト5がこれらの街というのだから驚きだ。
 では、人々は今何処に向かっているのか? そのキーワードは「食住接近」だ。サードウェーブコーヒーの先駆として「ブルーボトルコーヒー」が清澄白河にオープンしたのは'15年2月のこと。なぜ、渋谷や新宿ではなかったのか? 今やこの界隈はコーヒー店がいくつも軒を連ね、おしゃれなデートスポットとして賑わっている。そんな街の雰囲気に魅了されて人々が移り住んでくるのだ。チェーン店居酒屋やコンビニが近くにあるから、などという理由で住居を選ぶ人は、もはやとうの昔に絶滅していると言っていいだろう。
 おしゃれなコーヒー店、仕事帰りに気軽に立ち寄れるバル、昭和の面影残る角打ち居酒屋や焼き鳥屋。これぞ筆者の言う「食住接近」だ。今や東京の人口増加ベスト5に入る人形町は、空港へのアクセスのいい東京シティエアターミナル近く。下町の雰囲気を残す町並みに溶け込んだワインバーには、仕事帰りのCAさんが1人グラスを傾ける姿も。そう、人が集まる街にはロマンスすら抱かせる可能性だって秘めているのだ。
(小倉圭壱/書評家)

【昇天の1冊】
 日本史の陰に隠れた隠微でハレンチなトピックスを集めた1冊が『教科書が教えてくれない18禁の日本史』(宝島社/800円+税)だ。歴史上の名高い人物の性生活が数多く掲載されている。
 有名なところでは、徳川の歴代将軍たち。徳川幕府の時代は「小姓」と呼ばれ、将軍の身の回りの世話をする職制の者がいたが、これが公然のセックス相手だったこと、つまり男色である。
 三代家光も、犬公方で知られる五代綱吉も、同性愛の虜になっていたらしい。「キモッ」と言うことなかれ。
 戦国の世から、いや、それ以前の源平合戦の時代から、性愛の相手が同性であることは決して珍しくはなかったようだ。
 美少年といわれた源義経は若い頃に身を寄せていた寺の僧侶の“慰み者”、織田信長が戦場にいた際の夜のお供も男、さらに幕末の新撰組の内部で起きていた男色関係など、むしろ武士の“たしなみ”として半ば常識となっていたフシさえうかがえる。
 男色ばかりではない。熟女好きの幕府開祖・家康は、世継ぎを産ませるには出産経験のある女のほうがよしとばかりに、側室には後家を好んだという。それが年齢を重ねるにつれて若い女に関心が移り、60歳を越えてからは10代の女を溺愛した性豪だ。
 来日した宣教師や黒船のペリーも驚いた、日本の指導者・著名人たちの赤裸々過ぎる性事情を、風俗史家の下川耿史が解説。確かにこれらのネタは、学校の教壇では話せない。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

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