葉加瀬マイ 2018年11月29日号

ユッケ集団食中毒事件 “逆ギレ・土下座”社長の生半可経営

掲載日時 2011年05月19日 16時00分 [事件] / 掲載号 2011年5月26日号

 「法律で、生食用というか普通の精肉をユッケとして出しているものを全て禁止すればいい!」
 金沢に本社を置く焼肉チェーン店『焼肉酒家えびす』で、腸管出血性大腸菌O111により4人の死者と98人の患者(5月7日時点)を出した集団食中毒事件。
 5月2日に行われた釈明会見で、えびすを経営するフーズ・フォーラスの勘坂康弘社長は「数え切れないほどの人殺しというメールをいただきました…」と切り出し、謝罪が始まるのかと思いきや、冒頭のごとく逆ギレ。しかし6日に4人目の死者の知らせを聞くや、いきなり土下座の謝罪…。この豹変ぶりと、何より逐一周囲をドン引きさせる態度には呆れるばかりだ。

 勘坂社長が「すべてのお客様に愛を、店舗スタッフへ感動を」をキャッチフレーズに、富山県高岡店をオープンしたのは'97年のこと。翌年には金沢市にフーズ・フォーラスを設立し、'00年には資本金を1000万円に増資、株式会社とした。学生時代はディスコで黒服のアルバイトをしていたという勘坂社長は、外食系サイトのインタビューで、自信ありげに語っていた。
 《お客様に目一杯サービスをすると、『今日は楽しかったわ』などと言われて笑顔で帰られるのですね。お客様が凄く喜んでいただくのを見る度に、こちらも楽しい気分になる。『おっ、彼女たちは俺のファンになったんじゃない?』などと、ほとんどナルシストの世界ですね(笑)》

 確かに会見を聞いていても的外れのナルシスト。すでにこの辺りでもその片鱗を覗かせている。
 かくして5月6日、富山・福井両県警の合同捜査本部は、業務上過失致死容疑でフーズ・フォーラス本社や富山・福井の店舗に加え、同店に牛肉を販売した東京都板橋区の食肉卸売業者『大和屋商店』を家宅捜索する運びとなった。しかし、大和屋商店は「熱加工用の肉を扱っており、生肉として売った覚えはない」とし、えびす側はあくまで生肉として買い入れたと主張。言い分は平行線をたどっているが、大方の見方は、
 「生食用ならトリミングしてアルコール除菌するはずですが、何もしていなかったとなると、あまりにずさんすぎて、えびすサイドの言い分は信用できない。加熱用の肉を買っていたと勘ぐられても不思議はない」(社会部記者)
 という向きだ。

 責任のなすり合いはともかく、我々にとって気になるのは、今後の生肉に対する意識だ。
 腸管出血性大腸菌による集団食中毒といえば、'96年に大阪府堺市の学校給食で起きたO157による食中毒事件。この年は記録的な猛暑で、全国で7996人が感染し3人が死亡した。
 「このO157、今回問題となった111ともに、腸管出血性大腸菌である点で共通しており、O抗原は現在170種類以上発見されています。その中で、111は111番目に発見されたもので、157は157番目に見つかった細菌。これらは簡単に胃を通過して小腸に達し、大腸に定着する。大腸に入ると最初の3日間は水溶性の下痢が続きますが、その後血便が出て七転八倒する苦しみが続きます。ベロ毒素を出し、溶血性尿毒症を併発して、さらに酷くなると脳症にまで重症化する。こうなると大半の患者は死亡します」(医療機関細菌研究者)

 発症するのは子供と老人が多い。43歳の女性はいるものの、他に死亡したのは就学前の児童と6歳児、そして70歳の老人だった。
 水溶性の下痢が続いている時はまだ菌が増殖していないので、抗生物質で治療することができるという。
 「111も157も、もともと牛の糞便にいる常在菌。最近はブームもあってホルモンの消費が増えていますが、よく焼いて食べないとあたります。また、レバーもカンピロバクターという細菌がいるので生食には適しません」(同)

 肉店などでユッケなどの生物を調理する場合は、トリミングといって肉の表面の薄皮を剥がす。これは食中毒を防ぐための安全策だ。その際、使用した包丁やまな板はよく消毒することが厚労省の衛生基準に盛り込まれているが、そもそも『焼肉酒家えびす』ではトリミングを行っていなかった。しかも、この2年余り、細菌検査も行っていなかったというのだ。
 4月18日放送の『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ)では、司会の島田紳助が「1皿100円」の同店を大絶賛していた。安かろう悪かろう、という言葉があるが、実際、それが事実であれば問題。世の中には、努力で安く提供している店もたくさんある。


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