菜乃花 2018年10月04日号

迎撃は不可能 北朝鮮が水面下で進める原子力潜水艦「実戦配備」

掲載日時 2017年09月28日 10時00分 [社会] / 掲載号 2017年10月5日号

 北朝鮮に対する国連安保理の制裁決議は、常任理事国の中国とロシアも賛成に回った。加えて、このときのメンバーには、反米のボリビア、北にとって最大の友好国エジプト、長い間外交関係を維持してきたスウェーデンも含まれていた。その意味では、米国は外交的な勝利を収めたと言えるが、問題は中ロが相変わらず北朝鮮に武器部品ビジネスを展開していることだ。
 「現在、北朝鮮はSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)開発の一環として3000トン級の大型潜水艦を建造中で、朝鮮人民軍の創設記念日である来年4月25日に実戦配備する計画です。これには中ロの技術者が関わっており、今年4月には中国企業がミサイル開発に必要な高純度タングステンやアルミニウム合金を“高速道路建設用の工具”に偽装して国連の目をかいくぐり、北に大量密輸しています」(安全保障アナリスト)

 米軍が北朝鮮に先制攻撃する場合、核兵器の製造工場は後回しにして、まず第1撃でレーダー基地とミサイル施設、戦略軍司令部をたたく。対して北朝鮮は、たとえ陸上から発射する大陸間弾道ミサイル(ICBM)などが全滅しても、SLBMがあれば報復は可能で、米軍の第1撃を思いとどまらせることができる。
 「核を使用した北の即時報復能力を消滅させるには、過去にミサイルを発射した場所と隠していそうな場所、すべてを同時に攻撃する必要があるのです。ある米軍関係者は『場所を完全に特定できない以上、広範囲にたたける戦術核も使うことになるだろう』と予測しますが、戦術核による核施設への攻撃は核物質飛散による汚染を引き起こし、中国や韓国は強硬に反対するでしょう」(同)

 現状の北朝鮮のレーダーは40年以上前のものであり、空からの攻撃に対抗できるような統合された防空網は持っていない。これをつぶすのは赤子の手をひねるより簡単だ。しかも北朝鮮は、即時発射できる核弾頭搭載型ミサイルを短中長距離とも持っているわけではない。加えて、制空権を米韓に握られている以上、核弾頭を戦闘機で運搬できるわけでもない。
 それでも北朝鮮の核・ミサイル開発は誰にも止められない。その結果、SLBMの脅威にさらされる日本をはじめ周辺国は、ミサイル防衛などで新たな対応を迫られることになり、その費用は膨大なものとなる。そうなれば“費用対効果”に優れる『核武装論』が、日本でも説得力を持つ。
 「それで日本に対する北朝鮮の言論工作が活発化しているのです。米国は韓国の協力がなくても北とは戦えます。ところが、在日米軍基地と日本からの補給がないとムリ。北もそれはよく分かっていますから、反安倍勢力へのテコ入れに必死なのです。日本のリベラル派は『北朝鮮との対話』を引っ込め『戦争をやりたがっているのは日本の安倍だけだ』という論陣を張るようになりました。つまり、在日米軍基地を抱える日本が標的にされるくらいなら、北を核保有国と認め、共存という名の“下僕”になろうというわけです」(国際ジャーナリスト)

 さらに北朝鮮はより高い即時報復能力を目指し、今年1月初めから西部の南浦特別市付近に設置されたドックで原子力潜水艦を建造中だという。
 「南浦は黄海に面する港湾都市で、首都・平壌からは50キロ余り。高速道路で結ばれており、電子・機械製品を造る工場が集中する軍事拠点です。原潜の規模などの詳細は不明ですが、2〜3年内の実戦配備を目指しています。原潜となるとディーゼル型の潜水艦と異なり長期間の連続潜航が可能で、より広い外洋での運用に向いている。日本海での展開にとどまらず、太平洋まで潜航すれば日米にとっても深刻な脅威となるでしょう」(軍事ライター)

 原潜建造に関わっているのが、中国ではなくロシアだとすると厄介だ。
 「中国の原潜は音が大きくソナー探知が容易なので、日米の対潜戦能力の前には歯が立ちません。原潜の建造技術では中国よりロシアの方がはるかに高い。原潜からのSLBMの発射技術を北が持つとすると、日米にとって対抗しにくくなります。北はSLBMの発射実験をすでに行っており、技術はある程度できていると見るべきです」(同)

 小野寺五典防衛相は9月10日、「核実験を繰り返し、相当の能力を持っている国だ」と述べ、北朝鮮の核保有能力を認める一方、「核保有国とは容認できない」という従来の立場を強調した。
 「約200基の核兵器を保有しているとみられるイスラエルは、核保有国と認知されることを望んでいません。対照的に北朝鮮が望んでいるのは、インド、パキスタン両国のように国際社会から核保有国と認められることです。両国は核拡散防止条約(NPT)には加盟していませんが、認知を受けています。北も2003年1月にNPT体制から脱退しており、両国と条件は同じです。しかし、国際社会が北を認めないのは、独裁国家であり、民主国家ではないという事実です。印パでは民主的選挙が実施され政権は変わる。北に民主的な選挙はなく、独裁者の一言で核のボタンを押すことができる点が違うのです」(前出・国際ジャーナリスト)

 金王朝維持のため核実験を繰り返し、原潜建造や即時報復能力を身に付け『核保有国』の認定を目指したところで、国際社会から得られる答えはノーしかない。

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