葉加瀬マイ 2018年11月29日号

池江璃花子「進学質問タブー」通達に早大、東洋大が再アタック争奪戦

掲載日時 2018年06月27日 18時00分 [スポーツ] / 掲載号 2018年7月5日号

 日本大学の悪質タックル事件の後遺症は「来年以降」も続くかもしれない――。

 6月16日、競泳の池江璃花子(17)が欧州グランプリの女子100メートルバタフライを制した。自身が4月に更新したばかりの日本記録を、さらに塗り替えての表彰台だった。
 「昨今は、泳ぐ度に日本記録を更新しています。欧州グランプリでは9日間で12種目に出場しましたが、東京オリンピックでも複数種目に出る予定のため、体力的なテストを含めた予行演習の意味も含まれていたようです」(体協詰め記者)

 池江は大会に出発する直前の6月4日、成田空港で囲み会見に応じている。どちらかといえば、取材には協力的な池江が、ここ最近はちょっと違った。
 この会見でもそうだったのだが、「進学に関する質問はNG」なる通達がなされていたのだ。
 「大会に直接関係のない質問はしないでくれと。今までは、そんな通達は一度もなかったので、取材者はみんな驚いていました」(スポーツ紙記者)

 池江も悪質タックル事件の被害者なのだ。日大への進学が内定したと一部で報じられたが、池江サイドから「辞退の申し出」があったようだ。
 「早稲田大、東洋大、日本体育大、筑波大、明治大、立命館大、中央大などが競泳に強いと認識されています。近年でこそ、北島康介を育てた平井伯昌コーチの影響で東洋大が有名ですが、歴史と実績がいちばんあるのは日大。池江は高校3年生になる前から複数の大学からオファーを受けており、日大を選んだと聞いています」(前出・体協詰め記者)

 そもそも、池江の日大内定の一報が出たのは、4月16日にさかのぼる。その時点で“否定”はしなかった。
 「アメフト部の問題発覚以降、池江獲得に失敗した他大学の再オファーが始まりました。池江と同じマネジメント会社には、早大卒の瀬戸大也もいます。事務所が主導権を握るとすれば早大。五輪関係なら東洋大。所属のスポーツクラブが窓口なら、そのまま日大ということも考えられますが」(学生競技連盟の要人)

 池江は2年後に迫る東京五輪を意識し、新しい練習環境を求めていた。
 「日大には34のスポーツ競技部があり、そのすべてに専門施設があります。平昌五輪で2大会連続銀メダルに輝いた平野歩夢(2年)を獲得するにあたり、わざわざハーフパイプの専門施設を新設した“実績”があります」(関係者)

 日大には約7万人が在学している。全国系列校の生徒を含めた授業料と、毎年の受験料を合わせ、約1100億円が入る。それが施設維持費にもなっており、池江や他の有望アスリートたちを惹き付けてきた。
 「高校の1学年先輩で仲良しだった長谷川涼香、同じスポーツクラブの山本茉由佳も日大です。池江はすでに日大施設に出入りしていたとも聞いています」(同)

 池江が練習環境にこだわる理由は、東京五輪の日程問題にあった。というのも、東京五輪の競泳は、早朝8時台に決勝スタートとなる。巨額なTV放映料を払う米国への配慮で、向こうのゴールデンタイムに合わせるわけだ。そうなると、早朝練習に合わせて施設開放を約束してくれる学校でなければならない。
 「日大の教職員組合が明かしましたが、今回の件で、次年度入学希望者を対象としたオープンキャンパスの申し込みが前年比で6割も減りました。受験料激減となれば、施設維持費を確保できなくなる」(前出・体協詰め記者)

 去る16日、アメフト部OBが招集され、緊急会議が開かれた。彼らは秋のリーグ戦復帰をサポートしていくとし、その専門委員会を立ち上げると決めたが、“満場一致”ではなかった。
 まず、会合を呼び掛けたOB会長が、「悪質タックルを指示した」と関東学生アメフト連盟に認定された内田正人前監督の同期生。内田一派であるため、OB会長を退く旨を表明し「有志に今後のことは任せる」と言っていたが、その有志グループに内田派もいた。
 「だったら会合には出ない」と反旗を翻したOBも出たため、今後、OB会組織は分裂する可能性が高い。
 「新しい指導者が決まらなければ、アメフト部は再スタートできません。そこで、監督を決める権限は誰にあるのかを確認したところ、保健体育審議会の事務局長だと分かりました。ついこの間まで、同職に就いていたのは内田氏です」(前出・関係者)

 常務理事を退いた後も、事務局長の職は手放さなかった内田氏。11日にその職も解かれたが、辞任しなかったのは監督決定権を持ち続け、影響力を学内に残そうとしたのかもしれない。
 「トップアスリートは基本的には推薦入学です。『スポーツの日大』をアピールし、大量の学生を獲得する経営戦略でしたが、学校の隠蔽体質、経営トップが表に出ない状況を見て、これでは高校生のトップアスリートも『日大に行きたい』とは思わないでしょう」(同)
 池江が何も喋らないのは、友人でもある先輩たちが日大生だからか…。

 施設も大事だが、それ以上に大切なのは人間関係だ。日大はのべ450人強の五輪選手を輩出し、88個のメダルを獲得してきた。早朝練習の施設利用を約束する他大学が出れば、池江も決断するはずだ。
 「スポーツの日大」が追い込まれている。池江に追随するアスリートは、誰になるのか…。

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