菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 坂爪真吾 『性風俗のいびつな現場』 筑摩書房 820円(本体価格)

掲載日時 2016年02月21日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2016年2月25日号

 −−「貧困女子」が生活苦のために風俗で働くケースが増えています。実際、風俗業界は、彼女たちのセーフティーネットになっているのでしょうか?

 坂爪 風俗はあくまで収入を得るというビジネスなので、生活保護や障害年金といった社会保障的な意味でのセーフティーネットとは異なります。また、風俗店に採用されれば誰でも高額報酬を得ることができる、というわけでもありません。風俗で稼ぐためには、一定以上の容姿やコミュニケーション能力、そして指名獲得のための自助努力が必要になります。そのため、生活に困窮しているすべての女性にとって、等しくセーフティーネットになるわけではありません。

 −−高給を期待して風俗で働いても、誰もが稼げるわけではないのですね。その背景には何があるのでしょうか?

 坂爪 現在、デリバリーヘルスの店舗数は全国で約1万8000件あります。これは全国のセブンイレブンの店舗数とほぼ同じなんです。店舗の数も働く女性の数も飽和しており、価格競争も激化の一途をたどっています。裸になれば稼げるという時代はすでに終わっているといっていいでしょう。実際に風俗一本の専業で働く女性よりも、兼業で働く女性の方が多数派になっています。また、風俗で稼げる女性というのは、風俗以外の仕事でもきちんと稼げる女性なんです。風俗以外の仕事できちんと働けない女性は、風俗でも思ったように稼げない、という厳しい状況になっていますね。

 −−坂爪さんの活動の一つとして、「風俗店待機室での無料法律相談」が注目を浴びています。今後どのように展開していく予定でしょうか?

 坂爪 まずは、毎月の定期開催を確実に行っていくことを目標にしています。店舗側との連携を通して、女性が相談しやすいような仕組みづくりを進めていきたいですね。その上で、ただ待機部屋で弁護士や社会福祉士が相談を受けるだけでなく、生活保護や障害年金などの申請の同行支援、生活の立て直しのための助言など、相談者のニーズに応じて、より踏み込んだ支援をしていきたいと考えています。また、他のNPOや支援団体との連携を通して、風俗店の待機部屋を生活に困窮している女性のためのさまざまな情報、物資、支援者が集まる拠点、ひいては社会問題としての貧困と闘うための最前線の基地にしていきたいと考えています。風俗と福祉の共闘によって、貧困に立ち向かうための解決策を模索していきたいです。
(聞き手:程原ケン)

坂爪真吾(さかつめ しんご)
1981年新潟市生まれ。東京大学文学部卒。大学在学中に、歌舞伎町の性風俗産業の研究を行う過程で、性風俗産業の問題を知る。2008年「障害者の性」問題を解決するための非営利組織『ホワイトハンズ』を設立。

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