葉加瀬マイ 2018年11月29日号

話題の1冊 著者インタビュー 矢部宏治 『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』 講談社現代新書 840円(本体価格)

掲載日時 2017年10月19日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年10月26日号

 ――本書には“日本が米軍に支配されている”という驚きの事実が記されています。その理由は何ですか?

 矢部 まず、米軍は日本全国どんな場所でも基地にしたいと日本政府に要求することができ、さらにその基地から日本の国境を越えて、自由に他国を攻撃する権利を持っています。そんな権利を外国軍に与えている国は、世界中どこにもありません。これは地位協定で定められ、さらに密約によって補強されている米軍の法的な権利です。
 昨年、日本がロシアと北方領土の返還交渉をした際も「返した島に米軍基地を置かないと約束できるのか」とプーチンから聞かれ、日本側は「そんな約束はできない」としか答えることができず、その時点で交渉が決裂してしまいました。独自の外交など、全くできない状況にあるわけです。

 ――では、今後、日本が独立国家として米軍の影響を受けずに意思決定することはできるのでしょうか?

 矢部 敗戦後、アメリカに占領されていた日本が1952年に独立する直前、朝鮮戦争が起きました。その時、日本にいた米軍はすべて朝鮮半島に出撃し、日本はその軍事的支援を命じられました。信じられないことですが、その約70年前の「占領下での戦争協力体制」が今でも法的に続いているのです。ですから北朝鮮のミサイル危機をうまく片付けて、アメリカと北朝鮮が平和条約を結んで朝鮮戦争を正式に終わらせる方向に進めば、日本が現在のような米軍支配から脱する可能性も見えてくるでしょう。

 ――北朝鮮との緊張が高まっています。実際に米軍と戦争になった場合、日本はどうなるのでしょうか?

 矢部 戦争で核を撃ち合うケースなど、現在の国際社会ではすでに想定されなくなっています。その意味で人類は過去70年間、少しずつ進歩してきたといえるでしょう。しかし、トランプ大統領と安倍首相だけが、そうした世界の常識に大きく逆行しています。特に安倍首相は、ドイツのメルケル首相やロシアのプーチン大統領がせっかく日本や韓国の安全を考慮して「北朝鮮問題に軍事的解決はない」と調停してくれているのに、わざわざ強硬策を主張して日本国民を危険に晒しています。
 このまま行くと、米軍の意向で日本に核兵器が配備されて、日本と北朝鮮、中国が核を撃ち合う「恐怖の均衡」に追いやられます。一方、アメリカはその圏外にいて安全という状況を作られてしまう。そこまでいく前に国民が立ち上がって、その愚かな強硬路線に選挙ではっきりNOという意思表明をするべきです。
(聞き手/程原ケン)

矢部宏治(やべ・こうじ)
1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、'87年より書籍情報社代表。著書に『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』など。

関連タグ:著者インタビュー

エンタメ新着記事

» もっと見る

話題の1冊 著者インタビュー 矢部宏治 『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』 講談社現代新書 840円(本体価格)

Close

WJガールオーディション

▲ PAGE TOP