岸明日香 2018年12月20日号

話題の1冊 著者インタビュー 本橋信宏 『新橋 アンダーグラウンド』 駒草出版 1,500円(本体価格)

掲載日時 2018年01月21日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年1月25日号

話題の1冊 著者インタビュー 本橋信宏 『新橋 アンダーグラウンド』 駒草出版 1,500円(本体価格)

 ――前作の『上野アンダーグラウンド』に続いて今回、新橋を取り上げたのはなぜですか?

 本橋 駒草出版のシリーズ担当編集者・杉山君から「次は新橋、どうですか?」と勧められたことと、たまたま私の仕事場から36年ぶりに駆け出し記者時代の取材ノートが見つかったんですね。その中に24歳のときに新橋を取材したノートが混じっていたんです。それは週刊大衆誌上で『山手線駅300円で飲み食いできるメニュー』という記事のもとになったんですが、読んでいるうちに、36年ぶりにもう一度、新橋を訪れてみようと思うようになりました。当時から現在までの街の変化と、自分自身の成長がシンクロした本と言ってもいいでしょう。
 週刊実話編集部は東新橋、アサヒ芸能の徳間書店も新橋にありました。私が新橋を初めて取材したときの誌面は週刊大衆でしたね。奇しくも私が主戦場にしてきた週刊実話・大衆・アサ芸の“3大実話系週刊誌”と新橋の縁が書かせた、とも言えます。新橋は実話系週刊誌がもっとも似合う街。欲望をストレートに出せる街だと思います。

 ――新橋は“サラリーマンの街”というイメージがありますが、風俗、ハッテン場など、ディープな側面もありますね。

 本橋 喫茶店、レストランは、ほぼ100パーセント喫煙可でした(笑)。今のご時世を考えるとかなり珍しいですよね。相変わらずオヤジに優しい街でしたが、一方で、B級グルメブームから、若いOL、女子大生が大挙して押しかけて、今までの新橋とは異なる世界がありました。
 本書でも取り上げた新橋名物ナポリタンは、家庭で食べるナポリタンのなんと4倍もの量!(笑)。多くの喫茶店、レストランがナポリタンをメインメニューにしていて、繁盛しています。『新橋系ナポリタン』は、今やスパゲティ界のラーメン二郎と言ってもいいでしょう。

 ――近年の新橋は高層ビルが立ち並び、戦後のヤミ市の印象も薄れています。本橋さんにとっての新橋の思い出を教えてください。

 本橋 24歳の若造だった私にとって、新橋は赤提灯と焼き鳥の匂い、妖しい女たちが行き交う大人の街でした。今でこそ還暦をすぎた私ですが、新橋はその時から変わらず、ずっと身近にあって私を迎えてくれた気がします。
 最後のフィクサー朝堂院大覚、徳間書店創業者・徳間康快が活躍してきた街であり、スタジオジブリ発祥の街でもあります。清濁併せ呑む、本当に魅力ある街だと思います。
(聞き手/程原ケン)

本橋信宏(もとはし・のぶひろ)
1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。本書は“東京の異界シリーズ”第4弾となる。

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