葉加瀬マイ 2018年11月29日号

フクシマ発 福島原発の常駐下請け作業員が本誌に集団告発「隠ぺいされる真実」(1)

掲載日時 2011年05月26日 11時00分 [社会] / 掲載号 2011年6月2日号

 「どこに放射線計測器を向けても数値が振りきれる。どこに行っても放射線を浴びる。途方もない現場です」
 大手メーカーの下請け作業員として福島第一原発で働くA氏(32)が、現場の実態を淡々と語り始めた。

 福島県いわき市内の待ち合わせ場所に現れた彼らの服装は、ジーンズにチェックのシャツ。一見するとごく普通の若者たちだが、過酷な現場では防護服に全面マスクという完全装備で作業に従事している。
 「今は計測器を一人一台持っているけど、最初は数人のグループに一つだけでした。その計測器を持った人間から10メートル以上離れて作業することもあるので、自分が今どれくらい浴びているのかわからず、本当に怖かった。以前は、その日に浴びた線量を放射線管理手帳に記録して、年間で最大18ミリシーベルトまでしか浴びないよう管理されていましたが、今はまったく記録もされていないので、自分でその日の数値をノートにメモするようにしています。1カ月程度で、もう22ミリを超えていますよ」

 作業員の緊急時被曝線量の上限は年100ミリシーベルトだが、今回の福島原発では、強い放射線によって従来の基準をすぐに超えてしまう作業員が続出。このため、厚生労働省はこの事故に限って上限を250ミリシーベルトまで引き上げた。
 「一気にそんなに浴びても問題ないなんて、今までは何だったのかという感じですよ…」と、A氏が不安そうな表情を浮かべると、同僚のB氏(34)が続けた。
 「この基準は外側から浴びた放射線の数値ですが、作業員が怖がっているのは内部被曝です。放射性物質を吸い込んだら、なかなか出てこないし、体の中から放射線を浴びるので非常に危険なのです」

 その内部被曝が進行している実態が、他の同僚や友人の作業員の検査から明らかになっているという。
 しかも、福島に数日滞在しただけの人々からも、従来ではありえない数値が検出されているというのだ。
 「西日本の原発で働いていた福島出身の人が、事故で地元が心配になって2日間だけこちらに帰ってきていました。その後、自分の働いている原発に戻って、ホールボディカウンターという機械で内部被曝の状態を測ったら、5000カウントという数値が出たんです。普段は1500で精密検査を受けるよう決められているのに、原発から30キロ以上離れたいわき市内に2日間滞在しただけで、その何倍もの数値になっているんですよ。津波の日に福島第一原発にいて、すぐに避難した作業員も、4月半ばに別の原発に測りに行ったら3000カウント。原発から35キロほどの場所に住んでいる別の作業員は、事故後に数日だけ福島第一に入ったら、なんと1万カウントを超えたそうです」

 しかも、福島第一と第二原発のホールボディカウンターは震災で壊れている上に、空気中の放射線がすでに高いために計測ができない状態だという。
 「自分らは、ずっと福島第一にいるので検査する方法がない。いったいどのくらい内部被曝しているんですかね」と言って、彼らは乾いた笑い声を交した。

 東電は、「(ホールボディカウンターの数値は)単位が違うので簡単に換算できないが、外部から100ミリとか250ミリ浴びるのと比べれば大した数値ではない」としているが、内臓が直接、長期間被曝し続ける人体への影響は計り知れないだろう。

関連タグ:福島第一原子力発電所事故

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