葉月あや 2019年5月2日号

森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 すっきりしないスカイマーク再建

掲載日時 2015年03月26日 11時00分 [社会] / 掲載号 2015年4月2日号

 民事再生法の適用を申請して経営破たんしたスカイマークの事業再生が、いまひとつすっきりしない。20社を超えるスポンサー候補企業が名乗りを上げてはいるが、どの企業が選ばれるのか見通しがつかないのだ。最大の理由は、スカイマークがキャンセルしたエアバス社の「A380」6機の解約違約金が確定しないからだ。
 報道では、エアバス社は7億ドル(840億円)以上の違約金を債権として届け出る見通しだ。スカイマークは、現時点では債務超過ではないが、この額の違約金を請求されると債務超過に陥ってしまう。そうなればスポンサーの負担も当然違ってくるから、具体的な再建計画を詰められない。スカイマークの経営破たんを招いた最大の原因であるA380の導入が、再建計画にまで尾を引いているのだ。

 A380は、総二階建ての世界最大の航空機で、キャビンの面積はジャンボジェットの1.5倍にも及ぶ。しかし、開発が始まった1980年代とは異なり、現在の航空業界は、小さな飛行機を高い頻度で飛ばす方向にトレンドが変わっている。だから、ANAもJALも、A380を見送った。その中で、スカイマークが国際線就航のための機材としてA380を選んだのは、致命的な経営ミスだったとしか言いようがない。
 判断ミスの背景には、スカイマークの資本構成があったと思われる。2003年、スカイマークが経営危機を迎えたとき、情報通信の会社を手掛けていた西久保愼一氏が、35億円を出資して経営危機を救った。同時にスカイマークを設立したエイチ・アイ・エスを経営から離脱させて、西久保氏自身がスカイマークの社長に就任したのだ。その後40億円の追加出資することで、西久保氏の持ち株利率は30%を超えることになった。
 最大の出資者が社長の椅子に座れば、誰も逆らえない。航空産業の常識で考えれば暴挙としか言いようがない超大型機導入という経営判断のミスは、西久保前社長の独裁の下で行われたのだ。

 ところが、民事再生法の適用を申請したあと、西久保氏は、自分の持ち株をすべて売り抜けた。通常、民事再生法の適用を申請すると、株価は1円とか2円になってしまうのだが、スカイマークが債務超過でなかったために最大40円程度の株価がついていた。西久保氏の懐には10億円近い金が残ったことになる。
 もちろん西久保氏は75億円も出資しているから、損失といえば損失なのだが、重大な経営ミスをしたオーナーの手元に資金が残り、スカイマークの株式を買っていた投資家は道連れになり、債権者も債権を大幅にカットされる。一番の被害者はエアバス社かもしれない。このままでは、解約違約金も大幅にカットされるのが必至だからだ。もちろん、それが資本主義のルールなのだと言われたら、それまでだが、すっきりしない結末であることは確かだ。
 また、再建のスポンサーにエイチ・アイ・エスが名乗りを上げているのも腑に落ちない。エイチ・アイ・エスは、そもそもスカイマークの経営危機を作った張本人だ。それが、スカイマークが安く買えるとなったら、また手を挙げる。資本の論理が、公共交通を振り回すようなことが許されてよいのだろうか。

関連タグ:森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 スカイマーク


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