璃子 2018年3月8日号

パナソニックがソニーと仕掛ける“日の丸テレビ”の大バクチ(1)

掲載日時 2012年06月15日 11時00分 [社会] / 掲載号 2012年6月21日号

 今年3月期に過去最大となる7721億円の連結最終赤字に塗れたパナソニックが、本社社員約7000人の半分を配置転換や希望退職で削減するという。これまで事業部門の人員削減に踏み込んだことはあったが、「聖域」ともいえる本社部門にリストラの大ナタを振るうのは、長い歴史の中でも初めてのこと。世界中でグループ社員約33万人を抱え、国内で約13万人。うち本社には事務部門4000人、研究開発部門2000人、生産技術部門1000人がいる。いわば頭脳部隊を対象とした窮余の生き残り策というわけだ。

 6月末に就任する津賀一宏・次期社長は「スピード感のある経営を目指す」と強調しており、5月29日に新聞・テレビが本社の苛烈リストラを報道すると、「意思決定が早まることで事業再編に弾みがつく」(市場筋)との期待から、株価は終値で前日比20円高の536円までフィーバーした。
 「聖域に手をつける以上、パナソニックが大きく変わるのは間違いない。しかし株価急騰の裏にはパナソニックが打ち出すであろうテレビ事業への秘めた思惑がある。いわば日の丸半導体として血税のカンフル注入を受けたエルピーダメモリや、同じく血税注入を受けて発足したジャパンディスプレイ、すなわち日の丸液晶連合の向こうを張った“日の丸テレビ”発足への期待です」(大手証券マン)

 パナソニックとソニー、シャープのテレビ事業は、圧倒的な存在感を増す韓国サムスン電子の前に屈辱的な赤字の山を築き、いまや「赤字3兄弟」と揶揄されている。うちシャープは台湾の鴻海精密工業と資本・業務提携し、関係者の間では「事実上の身売り」と酷評されている。残るパナソニック、ソニーにしても、このままではサムスン電子に対抗できない。それどころか、東芝が国内生産からの撤退を表明していることもあって、社内には「もう限界。早々にテレビ事業から撤退すべし」の強硬論も台頭している。

 そんな折も折、薄型テレビ3位のソニーと4位のパナソニックが、次世代テレビとして有力視されている有機EL(エレクトロルミネッセンス)テレビ事業で提携交渉を進めていることが明らかになったのは、つい先日のこと。
 「敵の敵は味方ということ。単独で巨額の投資マネーを注ぎ込めばリスクが大きい。それよりは両社がサムスン包囲網でスクラムを組めばリスクを軽減できる。とりわけ有機ELで世界に一歩先んじながら採算が合わず断念し、今では自社の業務用モニターを細々と生産しているソニーは、提携関係にあったサムスンに市場を席巻された腹いせもあってパナソニックに激烈なラブコールを送ったといいます」(関係者)

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