紗綾 2019年8月1日号

プロレスラー世界遺産 伝説のチャンピオンから未知なる強豪まで── 「KENTA」米国WWEを経てさらなる伸びしろに期待

掲載日時 2019年07月09日 22時30分 [スポーツ] / 掲載号 2019年7月18日号

 今年1月にWWEを退団したKENTA(WWEではヒデオ・イタミ)が、6月9日、新日本プロレスの大阪大会に来場。今夏のG1クライマックス参戦を表明した。

 プロレスリング・ノアでトップを張り、その後は米国のWWEで経験を積んだ今、どんな戦い模様を繰り広げるのか。

※ ※ ※

 KENTAが日本においてトップクラスの活躍を見せ始めたのは、平成も後半に入ってからのことで、そのため「名前を聞いたことはある」というぐらいでしか認知していない昭和のプロレスファンは多いかもしれない。

 1999年に全日本プロレス入団。デビュー直後の2000年6月、プロレスリング・ノアに移籍した当初はいかにもジュニアヘビー級らしく飛び技主体で戦っていたが、蹴りを軸にしたハードヒットのスタイルにチェンジしてから頭角をあらわし、リングネームも本名の小林健太からKENTAへと改めた。

 2005年にGHCジュニアヘビー級王者となると、翌年には丸藤正道の持つGHCヘビー級王座に挑戦。敗れはしたが、この試合でプロレス大賞の年間最高試合賞を獲得している。

 その後はヘビーとジュニアの垣根を越えた戦いを繰り広げて、2013年にはGHCヘビー級王座を初戴冠。約1年にわたって防衛を果たし、三沢光晴の死去や小橋建太のセミリタイアなどで苦境にあったノアを支え続けた。

 同王座から陥落した2014年にノアを退団。
「ノア旗揚げ以降の約4年間、付き人として師事した小橋建太が2013年に引退したことが、退団の直接的な要因となりました」(プロレスライター)

 もともとKENTAの名称は小橋の改名候補として挙がっていたもので、それを小橋本人から譲られた格好だった。
「リング上では嫌味なくらいにクールでスカした立ち居振る舞いを見せるKENTAですが、小橋への敬意を欠くことだけはありませんでした」(同)

 同年7月、大阪でのWWE公演に登場するとリング上で公開契約を行い、9月には「ヒデオ・イタミ」のリングネームが発表された。

 「ヒデオ」は元メジャーリーガーの野茂英雄にちなんだもの。「イタミ」はアメリカでも人気の漫画『NARUTO−ナルト−』の敵役“ペイン六道”に由来したもので、ペインを和訳した“痛み”が「イタミ」になったとされている。
「WWEにおいてはメジャータイトル獲得などの目立った活躍はありませんでしたが、これは肩の故障による長期離脱の影響が大きい。あと、やはり日本人選手にとっては英語の問題があり、流暢にしゃべれないとどうしてもいいアングルに恵まれづらいですね」(同)

 そのスタイル自体が否定されたわけではなく、組まれた試合ではしっかりと見せ場をつくっていただけに、一概にWWEで失敗したとは言い切れないだろう。

★対ブサイク用のオリジナル殺法

 ヒデオ・イタミへの改名やWWE移籍による日本での空白期間に加えて、得意技の名称が○○絞めや××落としなど定型のものではないことも、昭和のおじさんたちがとっつきにくい一因であろうか。以下がKENTAの代表的な技である。
Go 2 Sleep(ゴー・トゥー・スリープ)

 相手をうつ伏せの形で両肩に担ぎ上げ、自分の正面に落下させたところに合わせ、膝を突き上げて顔面などにぶち当てる蹴り技。カナディアン・バックブリーカーのように担いでから、相手の後頭部に膝を合わせる「裏Go 2 Sleep」もある。GAME OVER

 相手の左腕を両脚で固めてから(柔術技オモプラッタの要領)、フェイスロックを極めてキャメルクラッチ風に反り上げる。対ヘビー級戦での必殺技。

 ブサイクへのヒザ蹴り
 打撃のコンビネーションから相手をロープに振り、戻ってきたその顔面に目掛けて飛び上がっての膝蹴り。このとき膝を折り畳み、己の体を反るようにして直線的に突き上げるのがジャンピング・ニーパットとは異なる点。

 ノア時代、金丸義信との対戦に際して、当時のタッグパートナーだった杉浦貴が挑発をかねて命名したもの。鈴木鼓太郎にこれを決めてピンフォールを奪ったときには、「鈴木鼓太郎への膝蹴り」と発表されたこともあり、あくまでもKENTAがブサイク認定した相手に対してだけ、この呼び名になるということか。新日参戦時は、誰に対してこの技名が使われるのかも見どころの一つとなる。

 ノアでは期待の若手として、勢い任せにトップまで上り詰めた感の強かったKENTAだが、今や38歳とアラフォーに差しかかった。

 先輩にも平然と毒付いてみせる大胆不敵さと向こう気の強さが魅力であったが、WWEを経てさらに尖ったスタイルとなったのか、それともエンタメを意識した変貌を遂げたのか。

 そうした部分も含めてまだまだ伸びしろは大きく、今後の活躍に期待のかかる1人なのである。

KENTA
***************************************
PROFILE●1981年3月12日、埼玉県草加市出身。
身長174㎝、体重82.5㎏。得意技/Go 2 sleep、GAME OVER。

文・脇本深八(元スポーツ紙記者)

関連タグ:プロレス


スポーツ新着記事

» もっと見る

プロレスラー世界遺産 伝説のチャンピオンから未知なる強豪まで── 「KENTA」米国WWEを経てさらなる伸びしろに期待

Close

WJガールオーディション

▲ PAGE TOP