葉加瀬マイ 2018年11月29日号

貴乃花親方が「一門離脱」で孤軍奮闘

掲載日時 2018年07月05日 16時00分 [スポーツ] / 掲載号 2018年7月12日号

 文字通り、寝ぐらさえ持たないハグレ鳥――。名古屋場所(7月8日初日、名古屋市のドルフィンズアリーナ)の番付発表直前、まるで栃ノ心の新大関デビューに水を差すように、しばらく鳴りを潜めていた貴乃花親方(45)が、所属していた貴乃花一門を離脱し、無所属になることが分かった。このため、貴乃花一門は解体、縮小し、新しく「阿武松グループ」として出直すことに。かつて栄光に包まれ、将来の理事長間違いなし、と言われた貴乃花親方はどこに行くのか?

 貴乃花親方の一門離脱は、時間の問題ではあった。2カ月前の4月に開かれた貴乃花一門の一門会で、
 「私の名前のある一門は返上しますので、ご検討ください」
 と申し出て、一門内に衝撃が走ったが、すでにこの時点で一門を離れる腹をくくっていたと見られている。

 どうして貴乃花親方は、平成22年に二所ノ関一門を飛び出すかたちで自ら立ち上げ、6つ目の一門にまで育てた貴乃花一門を出る気になったのだろうか。この裏に見え隠れするのは、やはりおなじみの“恨み節”である。
 「貴乃花親方は去年の終盤、日馬富士の暴行事件などで協会首脳と激しく対峙し、理事のポストから降格された。この処分に納得していなかったのは明白で、そのうっ憤を晴らし、自らの正当性を貫くためにも2月の理事選にはなんとしても再選を果たしたかったのに、頼みにしていた仲間に裏切られ、たった2票で落選した。この恨みは相当なもので、時間が経つにつれてますます強くなったんだと思います。ほら、仲間割れした時など、よく口にする言葉があるでしょう。『もうお前らとは同じ屋根の下には暮らせない』って。あれですよ」(一門関係者)

 そういえばその1カ月半後、弟子の貴公俊が付け人を殴る暴行事件を引き起こして謹慎を言い渡された時にも、貴乃花親方はこんなことを口にしている。
 「これからはゼロからやり直す。一兵卒としてやっていく」
 もう一門や、仲間とはすっかり心が離れていたのだ。今回の一門離脱は、それをかたちにしただけと言える。
 「当面は1人でやっていきたい」
 と、一門の親方に決別の意思を伝えた時も、実に淡々とした口調だったという。

 ただ、置いていかれる一門の残留組にとっては、たまったものではない。8年前、「大相撲界発展のために一緒にやろう」と誘われ、二所ノ関一門を出てきたのに、先の見えないかたちで放り出されてしまったわけだ。
 「これまで散々盛り立ててきたのに、自分の思うようにいかなくなったとたん、『もうやめた、これからは1人でやる』というんじゃねえ。これじゃ、最初から誘うなってんだよ。今さら言っても仕方ないけど、こういう時こそ、率先して自分に代わって理事になった阿武松親方(元関脇益荒雄)を支えるのが筋じゃないのかな」
 と、ある親方は険しい口調で話している。
 また、別の親方も、
 「(貴乃花親方に)言いたいことはヤマほどある。でもそれを言ったら同じ穴のムジナだ」
 そう言って、大きなため息をついた。

 彼らが怒るのも、ある意味もっとも。なにしろ貴乃花一門は、この貴乃花親方の離脱で、事実上、立ち行かなくなったのだ。
 今年2月の理事選前、貴乃花一門に所属する親方は貴乃花親方を含めて8人いた。ところが、それから3カ月後の5月にまず立浪親方(元小結旭豊)が三くだり半をたたきつけて一門から離れ、無所属になった。立浪親方は貴乃花親方の心意気に賛同し、平成24年の理事選後に伊勢ケ浜・立浪連合(当時、現伊勢ケ浜一門)からメンバーに加わった。しかし、最近の貴乃花親方の言動に、
 「疑問を感じる」
 と反発し、背中を向けたのだ。また、一門の長老の常盤山親方(元関脇舛田山)も、やはり貴乃花親方に不信感を募らせ、離脱を決心している。
 これで貴乃花一門は6人。もうこれ以上は減らせない状態になっていたところに、所属の親方たちが心のよりどころにしていた貴乃花親方まで出ていくとなれば、今後、一門としては成り立たない。阿武松、千賀ノ浦(元小結隆三杉)、大嶽(元十両大竜)、不知火(元小結若荒雄)、音羽山(元幕内大道)の5人だけでは、最低でも9票は必要といわれる理事も出せなくなるからだ。

 残された道は、空中分解してバラバラになるか、どこか別の一門に吸収合併されるかの2つだ。
 リーダーの阿武松理事は、苦渋の表情で話した。
 「一門の形態はとれないので、5人でしっかりまとまってグループとしてやっていく」
 今後は「阿武松グループ」と名乗ることを明らかにしたが、消滅は時間の問題といえる。協会から一門に支給される助成金も出なくなり、まさに踏んだり蹴ったりの格下げ宣言だ。

 また、気になるのはこの離脱騒動の元凶の貴乃花親方の今後だ。
 はぐれ鳥のままでは、理事復活は絵に描いたモチだし、理事長なんか、夢のまた夢だ。
 「とりあえず弟子育成に専念するしかないけど、そう簡単に横綱、大関は出来ない。この騒動で新弟子のスカウトも難しくなるでしょうから、前途は多難ですね」(協会関係者)
 またまた“貴の乱”を起こすのか。

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