〜筆頭株主の“次の一手”に金融庁も警戒〜 非常事態大和証券に忍び寄る中国マネーの影(1)

社会・2010/12/09 11:00 / 掲載号 2010年12月16日号

 「下手すると中国企業に乗っ取られるのではないか」−−。大和証券グループ本社に対する、そんな耳目を疑いたくなる究極の情報が、お膝元の株式市場に燻っている。

 同社は昨年10月、長年に渡り緊密な関係にあった三井住友フィナンシャルグループが日興コーディアル証券を買収、完全子会社化したのに伴い、関係を清算して独自路線を歩み始めたばかり。その時点で「住友グループと縁が切れるからには、主幹事を変えられ増資の引き受けやM&Aなどで割を食い、厳しい経営を強いられる」(関係者)とされてきた。
 果たせるかな、先に発表した9月中間決算は53億円の最終赤字(前年同期は198億円の黒字)に転落、記者会見した鈴木茂晴社長は「大変厳しい決算だった」と唇を噛んだ。日興コーディアルが、住友グループ関連の社債引き受けなどで実質24%増の営業収益を上げたのとは対照的だった。

 だが、強力な後ろ盾を失った大和証券の不気味さを増幅させるのは、それだけに留まらない。米投資顧問ハリス・アソシエイツが運営する、投資ファンドのオークマーク・インターナショナル・ファンドが大和株を市場で執拗に買い集め、11月1日時点で遂に保有比率を10.01%にまで高めたのである。むろん、ダントツの筆頭株主である。
 「ハリスは、日興が不正会計スキャンダルに塗れ、上場廃止の危機から株価急落のドサクサに紛れて積極的に買い出動し、米シティグループが日興を買収した際に売り抜けてガッポリ儲けた実績がある。大和株を買い漁ったのも“夢よもう一度”を狙ったのは明らか。つまり、住友グループと決別した大和が早晩立ち行かなくなり、再編のターゲットになると踏んでのことです。あるいは、野心的な第三者に保有株の売却を持ちかければ相手が二つ返事で飛びつく可能性がある。この場合は乗っ取り騒動に発展します」(市場関係者)

 冒頭に述べた中国企業ウンヌンは、そんなリスクを踏まえてのことだ。
 これ自体、決して荒唐無稽な観測ではない。金融庁にこの春、大和証券を専門にウオッチする特別チームが発足した。同社が来年1月の開業を目指してネット銀行の設立を準備しているための対応ということになっているが、金融情報筋は額面通りに受け取らない。数ある証券会社の中でも「大和証券には行政が監視を強化せざるを得ない“お家の事情”があってのことに違いない」というのである。

 いったい、お家の事情とは何なのか。金融情報筋が続ける。
 「大和が強力な後ろ盾を失ったといっても、もともと野村を始め大半の証券会社は後ろ盾がない以上、金融庁が大和を特別にウオッチする必然性はない。それよりも金融庁がナーバスになっているのは、三井住友と決別してからの大和が香港の現地法人を第2本社にし、スタッフを強化するなどしてアジア戦略を急加速させていること。成長著しいアジア市場を取り込むといえば聞こえはいいですが、リスク管理を誤れば大変な墓穴を掘りかねない。そんな事態を危惧する余り、金融庁は大和への特別監視が欠かせないと判断したに違いありません」

関連記事
関連タグ
社会新着記事