菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 志賀貢 『臨終の七不思議 医師が見つめた、その瞬間の謎と心構え』 三五館 1,200円(本体価格)

掲載日時 2017年04月16日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年4月20日号

 ――数千の臨終に立ち会ったそうですが、送る側として、家族はどんな接し方をすればいいのでしょうか?

 志賀 患者の死期が近いことを家族に連絡すると、その反応は二つに分かれます。一つは「できるだけ生き長らえるようにお願いします」と頼まれる場合。二つ目は「なるべく早く逝けるようにしてください」という場合です。後者は金銭的な負担がかかることを極端に嫌がるんですね。患者が高齢になればなるほど、こういうケースが増えています。最近は親子間でも義理人情が薄れていますね。親族をみとるときは、本人の手を握って、名前を呼んであげてください。後から「死に際に何もできなかった」と後悔する人が実はすごく多いんです。何もしないと、最終的に自分の心に傷が残ることになるんです。

 ――配偶者を先に亡くした場合、残された者の心構えなどはありますか?

 志賀 人間は物や人を失った時に強いストレスを受ける傾向があります。体内のリンパ球が減少し、それによって免疫、体力が落ちてしまうんです。特に、先に奥さんを亡くしてしまった男性が、病気にかかってしまうケースが非常に多いですね。中には心筋梗塞などによって、後を追うように亡くなってしまう人もいます。寂しい気持ちになってしまうのは仕方がないことですが、少なくとも一周忌までは、しっかりと故人を供養することに努めてください。これはもう一方で、自分の心の中にある相手への思いをきちんと整理する期間でもあるのです。最近では「死後離婚」などに見られるように、配偶者の遺族と縁を切ってしまう人も増えていますが、あまり感心できませんね。

 ――死は誰にでも訪れますが、どのように向き合っていけばいいのでしょうか?

 志賀 多くの人の死を見てきましたが、自分の死を達観して受け入れている人はいないと言ってもいいでしょう。しかし、いい死を迎えることはできます。まず、できるだけ独居は避けるようにしてください。独り暮らしは生活の乱れからストレスが高くなってしまいます。そして次に、対人関係を豊かにしましょう。人の言葉や思いやりが大きな糧になります。
 また、生前に家族間のトラブルも解消しておいたほうがいいでしょうね。金銭トラブルがすごく多いのですが、最低限でも火葬代くらいは事前に用意しておいてください。身寄りやお金がなく、無縁仏となってしまう人も多いのですが、やはり寂しいものです。普段から、身の回りの相談事などを話せる人を作ることも大切ですね。
(聞き手/程原ケン)

志賀貢(しが・みつぐ)
北海道出身。医学博士。昭和大学医学部大学院博士課程卒業後、臨床医として約50年にわたって診療を行う現役医師。『医者のないしょ話』など著書多数。

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