菜乃花 2018年10月04日号

売りが売りを呼ぶ負の連鎖 東電株大暴落が招く市場5月パニック(2)

掲載日時 2011年05月20日 11時00分 [社会] / 掲載号 2011年5月26日号

 ゼネコン各社は「株主ならば工事受注に断然有利」とばかり競うようにして東電株を取得、これが今回の“評価損地獄”に繋がっている。とはいえ、いち早く評価損を発表した前田建設の38億800万円にしても、3月期の総額で東電の損失分など個々の銘柄には言及していない。しかし、大手シンクタンクの試算によれば、ゼネコン各社が被った東電の損失額は鹿島約18億7000万円、清水建設18億円、東芝プラントシステム17億円、大成建設16億5000万円、竹中工務店11億円、ハザマ6億4000万円、大林組5億6000万円、日本工営5億4000万円などと続く。
 他にもJR東日本約20億円、三菱地所18億円、大崎電気工業4億5000万円と、大口の損失処理を迫られた企業が相次いだ。

 各社が長期安定銘柄として保有し、高配当の恩恵に浴してきた東電の株式が「株価回復の見込みなし」として減損処理の対象になること自体が悪夢でしかない。だからこそ各社の決算が出揃う5月の連休明けには、株式市場が「大パニックに陥るのではないか」と前出の市場関係者は顔を曇らせる。
 「東電とビジネス面で関係が深い企業ほど、処分売りに踏み切れない状態にあります。確かにやむを得ない事情があったにせよ、それが自社の業績を直撃して株価に反映し、回り回って自分の首を絞めるのであれば嫌でも東電株を保有し続ける意味が問われてくる。6月の株主総会で『なぜ東電株を急いで処分しなかったのか』と責め立てられたら経営陣は答弁に窮するでしょう。まさか『そんなことをしたら東電から見捨てられる』とは口が裂けても言えませんよ」

 実は3月の決算期末に市場の耳目を集めた“事件”があった。東電株が猛然と売り浴び、ストップ安に次ぐストップ安で誰も買い手がつかなかった3月31日、4000万株の東電株を一括して買い取った投資家がいたのである。その投入額、何と185億円。保有株の数からいうと東京都に次ぐ実質第4位の大株主である。その素性はまだ明らかになっていないが、引き続き保有していれば東電や政府にとっても非常に不気味な存在となる。
 「中国の政府系ファンドが東電を始めとする日本の優良企業の株をシコシコと買い漁ってきた。3月末の大量買いにも中国ファンドの買い増し説が燻っています」(情報筋)

 取得比率が5%未満に留まる限り、財務省への報告義務は生じない。だからこそ4000万株取得者の素性はベールに包まれているが、一方で銀行や生損保、さらには大手ゼネコンなどが東電株の減損処理とこれに伴う自社株の下落リスクに悲鳴を上げている。その隙に乗じて何者かが“日本ジャック”を仕掛けたのか、それとも“ジャック”は幻想なのか。唯一はっきりしているのは、東電株の記録的暴落を機に市場がパニック売り一色に染まり、悲鳴の連鎖が続いていることなのだ。

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