葉月あや 2019年5月2日号

【話題の1冊】著者インタビュー 鈴木智彦 サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う 小学館 1,600円(本体価格)

掲載日時 2019年01月04日 15時00分 [エンタメ] / 掲載号 2019年1月10・17日合併号

★食品業界最大のタブー_“密漁ビジネス”に肉迫!

 長年、極道業界を追ってきた著者が、ヤクザと漁業の深い繋がりに肉迫し、「食品業界最大のタブー」を暴く。ヤクザの巨大資金源と化した“密漁ビジネス”には、漁師や漁協、さらに市場の仲卸なども関わり、アワビに至っては正規のルートで流通する半数が密漁されたものだという。

 著者は5年間にも及ぶ取材の中で、密漁に関わる北海道の地元ヤクザはもちろん、渦中の密漁団も直撃。さらには、密漁品の流れを追って、全国各地から海産物が集まる東京・築地市場(当時)で実際に4カ月労働し、突き止めていく。
「100億円産業」といわれる密漁の実態に、誰もが驚きを隠せないはずだ。

――密漁を取り締まる側の海上保安庁職員など、あらゆる人物と接触し、現場で起きているタブーを明らかにしていますが、出版後、著書を読んだ取材相手たちの反応はどうですか?
「密漁団から、手口とか詳しく書かれていて困る、とは言われました。でも、海保だって誰が密漁団か分かっている。密漁団には、ボートの舵を任される船頭、その補助をする“バンコ”、通常3人から4人の潜手(ダイバー)がいて、陸にも車に乗って定期的に周辺を偵察する“陸周り”が3人程度います。潜手の取り分が高く、“密漁団養成スクール”まである。5万円くらい払って、潜り方を習うんです。実際の密漁と同じ、暗闇の中で20㍍くらい海に潜って練習します」

――犯罪としてのリスクだけでなく、潜手は生命に関わる危険も伴うわけですね。
「深く潜ると潜水病になります。血液の中の窒素が泡立ってしまい、関節が痛くなり、頭痛もしてくる。潜手は潜った場所と同じ場所に上がってこないことが多く、漁が終わって浮上したら、防水ケースにしまった携帯電話か無線機でやりとりして、ボートに拾ってもらう。それが、事故が起きた場合は、やりとりができず、どこに潜手が上がるのか分からなくなるから、助けようにも助けられない。結局は、天敵である海保に通報するしかないんです」

――著書の中では、密漁以外にも戦後、千葉・銚子の漁業を牛耳り、「東洋のアル・カポネ」などと呼ばれた高橋寅松(指定暴力団・双愛会の初代会長)の壮絶な人生も書かれていますね。
「高寅初代のことは10年以上寝かせていて、これまでどこにも書かないでいたんです。いつか面白いからやろうと思っていたけど、まさか『サカナとヤクザ』で書くことになるとは予想していなかった。高寅初代のヤクザっぽいエピソードもたくさんあって、全部書くとサカナの話にならないから、一部しか書いてませんけどね」
 著書は発売前から注目され、ヒットを飛ばしている。そこに、誰も見たことのない真実があるからだろう。

鈴木智彦(すずき ともひこ)
『実話時代BULL』の編集長を経て、フリーのカメラマン兼ライターになる。ヤクザ業界を中心に取材を続け、東日本大震災では福島第一原発に作業員として潜入。『ヤクザと原発』(文藝春秋刊)を執筆した。

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