葉加瀬マイ 2018年11月29日号

森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 トランプ隷従でよいのか

掲載日時 2018年08月02日 14時00分 [政治] / 掲載号 2018年8月9日号

 西日本豪雨に対する警戒を気象庁が呼びかけた7月5日の夜、赤坂の議員宿舎に安倍総理を含む約50人の自民党国会議員が集まり、赤坂自民亭と称する親睦会を開いていたことは国民から大きな批判を浴びた。
 今回の豪雨は、死者が200人を超え、甚大な被害が広い地域に及んだのだから、批判は当然だ。ただ、私は、もっと大きな問題があると考えている。深刻な被害状況が明らかになるなかで、与党がカジノ法案の審議を優先させていることだ。
 今回の豪雨被害は、とても住民や地域の力だけで復興できる規模ではない。災害ゴミの撤去や交通インフラの早期復旧など、国として、どのような支援ができるのかを国会は徹底的に話し合うべきだ。ところが、不要不急と思われるカジノ法案を、与党は何が何でも会期内に成立させようとしている。一体なぜなのか。

 明確な証拠はないのだが、私はトランプ政権の影を感じざるを得ない。
 ギャンブルは、胴元が一番儲かる。シンガポールのマリーナベイ・サンズという統合リゾートの場合、カジノの運営はラスベガス・サンズという米国企業が行っている。運営者は入札で決めたことになっているのだが、どのような入札が行われたのかは不透明だ。日本の場合も、「米国はカジノ運営のノウハウを持っている」という理屈で、米国企業に運営権が渡る可能性が高いのではないか。つまり、トランプ政権への貢物が、豪雨の被災者より優先されている可能性があるのだ。

 安倍政権のトランプ隷従は、目に余る。三菱UFJ銀行とみずほ銀行は、8月にもイラン関連の取引を停止する方針を明らかにした。米国のイラン再制裁に協力するためだ。もちろん、銀行単独の判断ではなく、日本政府の意向を踏まえた行動だろう。しかし、そもそもトランプ大統領のイラン制裁再開は、理不尽なものだ。国際社会が認め、イランも誠実に対応してきた核放棄へのプロセスを、トランプ大統領が手緩いと判断して、単独行動に出たからだ。
 その背景には、イランがトランプ大統領が肩入れするイスラエルと対立しているという事情がある。ただ、トランプ大統領のせいで中東不安が高まり、原油価格が高騰して世界中が迷惑をこうむっている。
 それだけではない。トランプ大統領が仕掛けた中国との関税引き上げ報復合戦は、戦前の保護主義に対する反省に基づいた戦後の自由貿易体制を根底から揺るがす暴挙だ。にもかかわらず、日本政府は、トランプ大統領の言うことを無条件で受け入れているのだ。

 問題は、日本政府だけではない。国民も同罪だ。
 7月13日、トランプ大統領はイギリスを初めて公式訪問した。それに合わせる形で、ロンドンではトランプ大統領を非難する10万人規模のデモが行われた。その動きはイギリス全土に広がっている。イギリス人の多くが、トランプ大統領が人類の敵であるという認識を持ち行動に出ているのだ。
 翻って、我が国はどうだろうか。大統領選のときこそ、メディアはトランプ氏を批判的な論調で報じていたが、就任後は批判を手控えている。国民の中でも、反トランプデモを起こそうという気配はまったく見えない。まず立ち上がるべきは日本国民ではないのか。

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