菜乃花 2018年10月04日号

浮気に激高し、殴り殺す… 17歳年下男の哀しき純愛と慟哭(1)

掲載日時 2016年09月10日 23時00分 [事件] / 掲載号 2016年9月15日号

 「彼女が口と鼻から血の泡を吹いて倒れている。顔や首はまだ温かいが、心臓が止まっている…」
 事件当日の夕方、こんな119番通報が掛かってきた。現場は繁華街にある雑居ビルに入るスナック。救急隊員が臨場したところ、店内に1人の男が立っていた。それが的場陽一(31)である。被害者は的場の交際相手で、そのスナックのママである大西栄子さん(48)。的場は病院に同行したが、救急隊員の質問にまともに答えられないほど動揺しており、栄子さんが搬送後間もなく死亡したため、傷害致死容疑で警察に逮捕されることになった。
 「自分が彼女を殴って死なせてしまったことに間違いありません…」

 的場の事件はほとんど続報がなかったため、ネット上ではさまざまな憶測を呼ぶことになった。
 〈おおかたヒモのような男が年上の女に金をせびって断られ、カッとなって殴り殺したのだろう〉
 〈通報したときに『帰宅しない被害者が心配になって店に戻った』と供述しているようだが、自分が起こしてしまった事の重大性にパニックになり、一度家に逃げ帰っただけだろう〉
 ところが、この事件の裏には、思いもよらない“純愛”が横たわっていたのである。にわかには信じ難い真相はこうだ。

 的場は19歳のとき、9歳年上の妻と知り合った。当時、的場はダイレクトメールを発送する会社で現場責任者をしており、そこへ派遣社員としてやってきたのが妻だった。
 妻は何事も完璧にこなす性格で、的場とはあうんの呼吸で仕事を片付けた。的場はそんな妻がすっかり気に入り、プライベートでも付き合うようになり、まもなく同棲した。
 その後、お互いにスキルアップして、的場は調理師免許を取って飲食業界に転職し、妻は大学の図書館の司書になった。2年前に長女を授かり、的場はよりよい収入を求めて事件現場のビルに入る高級クラブのチーフ従業員になった。

 ところが妻は長女を出産した途端、産後うつになった。あれほど几帳面だったのに一切家事ができなくなり、的場が代わりに家事をやるようになったが、妻は自分と同じ感覚を求め、少しでも気に入らないことがあると怒るようになった。
 例えば洗面所の掃除では髪の毛1本でも落としてはいけない。トイレのふたは常に閉めていなければならない。洗濯物は色の濃いものから薄いものの順に干さなければならない。しかも使うハンガーも色の濃いものから薄いものの順番になっていなければならない…。こうしたルールを守っていないと、半日以上口も利いてくれないほど怒るのだ。しかも、その理由もはっきり言わないため、的場としては何に対して怒られているのかも分からず、いつも戸惑っていた。
 仕事が終わってから家事をこなし、幼い娘のオムツを替えたりミルクをやったりする。そんな生活が1年以上も続くと、すっかり疲れ果ててしまった。

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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