☆HOSHINO 2019年6月27日号

特選映画情報『アメリカン・アニマルズ』〜アウトローとは程遠いシロート大学生たちの強盗計画顛末!

掲載日時 2019年05月24日 19時00分 [エンタメ]

特選映画情報『アメリカン・アニマルズ』〜アウトローとは程遠いシロート大学生たちの強盗計画顛末!
画像はイメージです

配給/ファントム・フィルム 新宿武蔵野館ほかにて全国公開
監督/バート・レイトン
出演/エヴァン・ピーターズ、バリー・コーガンほか

 04年にアメリカ・ケンタッキー州で実際に起こった窃盗事件を映画化した犯罪映画というとありきたりに聞こえるが、犯人が別にアウトローでも何でもない中流階級の若者という点がトーシロの学生の犯罪心理的側面を良く捉えていて興味深い。

 大学生のスペンサー(バリー・コーガン)とウォーレン(エヴァン・ピーターズ)は、退屈な日々を持て余す中、自分たちの図書館に時価12億円の希少本『アメリカの鳥類』があることを知り、他の仲間も引き込んで、これを盗み出す計画を立てる。やがて、彼らは老人に化けて正面から図書館に乗り込むが…。

 タタキ(強奪)は映画の華。ボクも大好きだ。『現金(ゲンナマ)に体を張れ』(55年)の昔から星の数ほどあり、これまで幾人もの連中が乾坤一擲の勝負をかけたのに、こいつらときたら、ほとんど部活や学園祭のノリ。犯行動機は、何かスペシャルな体験をしたいから、誰よりも自由を求めたいから…てやんでい、聞いた風な口をききやがって、とボヤきたくもなるが、まあお手並み拝見といこうや。

 こいつら、計画は綿密、用意周到。しかし、参考にしたのが『オーシャンズ11』『スナッチ』『レザボア・ドッグス』などの近年の犯罪映画という哀しさ。いざ現場となれば、そんな参考書通りにはいかない。想定外、番狂わせの連続で、とにかく、危なっかしくて観ていられないほど。おい、もっとしっかりせい、と親戚のおじさんのようにカツを入れたくなる。後半、実際の犯人たちを登場させ、当時を振り返らせ、犯行に及ぶ心理描写を同時並行的に描くというユニークな手法はドキュメンタリー出身のレイトン監督ならでは。

 逡巡、後悔、当惑…後から考えると判然としないのもまさにトーシロの心理状態。何となくルビコンの川を渡ってしまった彼らだが、刑期を終えた後、普通に暮らしているのが救いだろう。若いときの過ちは意外に取り返せる、という“若気の至り”映画なのか。ここでないどこか、今でないいつか、を求めて、チマチマした人生から飛躍するための現状否定は若者の当然のココロ。安定志向に走る若い世代に対して多少の刺激剤にはなりそう。オジサンたちには昔の血を湧かせる発奮剤になるかも知れない。

 それにしてもあの希少本、いっそ燃やしちまった方が、ボクのカタルシスは満たされたけどね。物足りない部分と言えば、美女っ気ゼロという点。あの司書のオバサンがパツキン美女なら展開は違った? 希少本なんぞよりその美女をイタダキにかかるけどね(笑)。
(映画評論家・秋本鉄次)


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