菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 吉田勝次 『洞窟ばか』 扶桑社 1,400円(本体価格)

掲載日時 2017年02月12日 16時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年2月16日号

 ――20年以上かけて約30カ国、1000以上の洞窟を探検したそうですが、そもそも洞窟にもぐろうとしたきっかけは何ですか?

 吉田 若い頃からエネルギーを持て余し、登山やスキューバダイビングをしていたんですが、今一つしっくりこなかったんです。28歳のある日、アウトドア雑誌でケイビング(洞窟探検)クラブの活動記事を見て「これだ!」と思い、早速入会。初めて洞窟に連れて行ってもらった時「これだ! これしかない!」と運命の女性に出会った男のように「洞窟病」にかかってしまいました。

 ――特に印象的だった場所はありますか?

 吉田 これは難しい! どの洞窟も印象的で甲乙付け難くて選べないなぁ…。強いて言うなら、10年以上通っている、もう自分の家みたいな三重県の「霧穴」。もう一つは、奄美諸島沖永良部島の「銀水洞」。ここは本には書かなかったけど、奇跡の空間なんです。さまざまな条件が重なって初めて真っ白で美しい棚田が現れるんです。少しでもバランスが崩れたら一瞬でなくなってしまうほどデリケート。世界中で1、2を争うきれいな洞窟です。

 ――400メートルもの縦穴にロープ1本で下ったこともあるそうですが、命の危険を感じたことはありますか?

 吉田 そりゃもういっぱいありますよ。ここには書き切れないくらい(笑)。命を助けてもらったなと思ったのは、もう20年くらい前に、岩手県「安家洞」の未踏の空間で崩れそうな岩の隙間を縫うようにうつぶせで進んでいた時のこと。ゴロゴロッという音とともに天井が落盤して、胸から足まで岩に埋まってしまったんです。
 息はできるけど、岩の重さで身動きはできないし、仲間に掘り出してもらうしかない。「もし今、崩れたら本当に生き埋めになる」と考えたら、怖くて怖くてパニックを起こしてしまうので、目をつむって必死に精神統一していました。一歩間違えば圧死していたかもしれません。

 ――ケイビングの資格制度を創ったそうですが、一般の人でも取得できますか?

 吉田 洞窟を案内するガイドの資格は5段階に分かれていて、3から上は特殊な訓練になります。ロープを使って人をサポートしたり、安全を確保する訓練が必要です。
 縦穴を登ったり下りたりすることは大抵の人ができるんですが、第三者を運ぶことは普段やりませんからね。全くの素人が講習だけで資格を取るのは難しいですが、資格取得を目指すなら、少しずつ経験を積んでいって欲しいですね。
(聞き手/程原ケン)

吉田勝次(よしだ・かつじ)
1966年、大阪府生まれ。20代後半で洞窟にのめり込み、今まで入った洞窟は国内外含め1000以上という洞窟探検家。(社)日本ケイビング連盟会長。

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