〈男と女の性犯罪実録調書〉③気が付くと血の海の中に…

官能・2020/08/06 00:00 / 掲載号 2020年8月13日号

 事件当日、田中はいつものように朝ごはんを食べにやって来て、普通に会社に出かけた。夜も来ることになっていたので、千尋はビールとつまみを買いに行き、そのついでに刃渡り18センチの包丁を購入した。

 田中はその日、酔っ払って管を巻き、「オレは年だから、若いのと付き合ったらどうだ」「1人になりたい。自由がいい」などと言って、千尋を困らせた。
「どうしてそういうことを言うの。私はもう、あなたと結婚するって決めてるのに…」

 千尋が泣きながら尋ねても、答えようとしない。

 殺意が芽生えた千尋は睡眠薬入りのワインを飲ませた。やがて田中は薬が効いてきたのか、ベッドのほうに行って眠ってしまった。

 千尋は新品の包丁を取り出して近付いた。目を覚ませば、また別れ話になるだろう。それならここで、関係を終わらせるしかない。

 湧き上がる感情をコントロールできなくなった千尋は、田中を滅多刺しにして殺害した。

 気が付くと、血の海の中で座り込んでいた。

 千尋は「愛人を殺した。自宅にいる」と110番通報し、駆け付けた警察官に現行犯逮捕された。
「私は人を殺すために生まれてきたのか。どうして白と黒しかないのか。私はもう、男をつくってはいけないということが分かった。男が絡むと事件になってしまう。こんな私は生きていてもいいのだろうか」

 千尋は田中と付き合う前、不動産を斡旋してくれた営業マンや、カギを付け替えてくれた業者と肉体関係を持った。だが、2人とも千尋のヤバさに気付き、「休日が合わないから」と言って、短期間で去っていった。

 千尋は精神耗弱によって減刑されるだろう。だが、何人も千尋のような女との出会いを避けるすべはない。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

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