和地つかさ 2018年9月27日号

話題の1冊 著者インタビュー ユウキロック 『芸人迷子』 扶桑社 1,300円(本体価格)

掲載日時 2017年01月29日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年2月2日号

 ――漫才への熱い思いがこれでもかとばかりに伝わってきます。超売れっ子だった全盛期を今振り返ってみてどう思いますか?

 ユウキロック 何もかもを勝ち取ろうと思ってガムシャラに頑張っていった結果、本当に勝ち取りたいものから一番遠い場所に行ってしまいました。タイミングや運にも見放されていたのかもしれませんが、結局は太い「芯」が自分にはなかったと思います。順調で途切れることなく仕事をもらっていた若手時代、出演が決まってもいない「ネタ見せ」と称するオーディションに呼ばれると、「何で電車賃払ってオーディションに行かなあかんねん」と思っていました。なまじ腕があったばかりに謙虚さが足りなかったんです。また、それを教えてくれる人もいなかった。だからこの本を読んで、芸人だけじゃなく他の仕事をしている方にも僕の失敗を反面教師にしてもらいたい。「気をつけないと『迷子』になるよ」と強く言いたいです。

 ――ユウキロックさんにとって相方の存在とは?

 ユウキロック 命懸けで「頂点」を目指した「家族」です。だからこそ、あそこまで厳しくなれたと思います。そして、ドライな部分でいえば「共同経営者」とも考えていました。コンビですから、僕の給料の半分は相方が稼いでいるわけです。相方の向上なくして、自分の給料はアップしません。この「家族」という部分と「共同経営者」という部分が重なった存在が相方でした。だから自分が努力する分は、相方にも努力してほしい。自分ができることを相方ができないなど問題外。僕はこの考えで漫才をしてきました。しかし、こんな思いやりがないやり方のせいで、破滅へと向かっていったわけです。解散は「倒産」。僕は「経営者」として完全に失格でした。

 ――現在はお笑いの講師をしているそうですが、自分で演じることと、人に教えることの違いをどう感じていますか?

 ユウキロック 島田紳助さんや松本人志さんといった尊敬する大先輩、阪神巨人さんや中田カウスボタンさんたち偉大な師匠の皆さん、同期の中川家や後輩のブラックマヨネーズなどお笑いの才能に溢れた人たちから学んだり、切磋琢磨したりしてきて、ずっと自分はお笑いのことを深く理解しているつもりでした。ただ、講師を始めてスキルや理解度がまちまちな生徒と接していると、これまでは当たり前すぎて見落としていたことにも気付かされました。いつもと違った角度からお笑いのことが見えてきて、その奥深さがより分かってきたような気がしています。
(聞き手/程原ケン)

ユウキロック
1972年、大阪府生まれ。'92年、NSC大阪校に入校。大上邦博と「ハリガネロック」を結成。「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトルチャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。

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