小瀬田麻由 2019年2月28日号

“お家騒動の血”が騒ぐ! NEC矢野新会長院政のムリクリトップ人事(1)

掲載日時 2010年03月11日 00時00分 [社会] / 掲載号 2010年3月25日号

 「ほう、そんな手を駆使したか」−−。NECが発表したトップ人事に業界関係者が、苦笑している。同社は先ごろ、矢野薫社長(66)が4月1日付で代表権を持つ会長に就任し、遠藤信博・取締役執行役員常務(56)が社長に昇格すると発表した。

 次期社長に決まった遠藤氏は取締役では最も若く、上席役員15人をゴボウ抜きしての大抜擢である。
 経済メディアは「かねてから次期社長の本命とされてきた」とエールを送るが、経営の中枢を担う経営企画を担当したのは直近の1年間。それまでは、携帯電話の基地局を結ぶ通信装置の責任者として世界トップのシェアを獲得したように、無線通信部門一筋を歩んできた。10歳も若い生粋の技術者を後継者に指名したことで関係者の目には「テイのいい矢野さんの院政シフト」としか映らない。

 もっとも、NECはトップ交代に併せて2013年3月期に連結純利益1000億円を目指すとの中期経営計画を発表、各紙がこのバラ色の計画とトップ人事を重ねて報じたことから、世間的には“院政シフト”の印象が薄まったのは否めない。
 「それこそが矢野さんの狙いでしょう。もし中期経営計画とのセット発表でなかったら、記者団から代表権を持つ会長に就く理由や、今年3月期決算に関する厳しい質問攻めに遭った揚げ句、答弁に窮して公の場で恥をかきかねなかったのです」(NECウオッチャー)

 これには伏線がある。NECは昨年3月期に2966億円の最終赤字に塗れ、6月総会で矢野社長は株主から経営責任を問われた。その際、1600人の株主を前に「必ず達成する」と大見得を切ったのが、'10年3月期の最終利益100億円確保と復配だった。従って、今年の3月期にまたゾロ赤字地獄にのた打ち回っているようだと「公約違反=社長失格」の烙印を押され、詰め腹辞任に追い込まれるのは目に見えている。

 その手前、矢野社長は今年3月期に前期比で2700億円の固定費削減に踏み込むなど、「聖域なきリストラ」に着手した。昨年9月に65%出資する半導体子会社NECエレクトロニクスと、ルネサステクノロジー(日立と三菱電機が出資)が今年4月の経営統合を決めたのも、その一環だった。結果、新会社・ルネサスエレクトロニクスに対するNECの出資比率は33.42%に低下、赤字続きで典型的なお荷物企業だったNECエレクトロニクスの「連結外し」が実現した。
 「赤字のルネサスを持ち分法適用会社にしていた日立と三菱電機は持ち株比率が下がるし、NECに至っては連結対象から持ち分法適用会社になり、その分だけ経営に与える負担が軽減する。これが統合を主導し、一時は破談の危機に直面しながら辛うじて軟着陸を成功させたNECの狙いでした」(経済記者)

 とはいえ、その程度でNECの業績が急回復するわけはない。果たせるかな、1月末に発表した昨年4〜12月決算は本業の儲けを示す営業利益が452億円の赤字、当期損益も赤字だった。矢野社長が公約に掲げた100億円の最終利益と復配には、依然として高いハードルが待っている。問題はこれをどうクリアするかに尽きる。
 実は矢野社長、ハードルをクリアすべく密かに手を打っている。2月3日、NECは筆頭株主として保有してきた日本電気硝子の株式の一部6482万株を大和證券キャピタル・マーケッツに売却し、今年3月期の連結ベースで200億円、単体ベースで270億円の売却益を計上すると発表した。これに伴い、NECの出資比率は24.4%から11.3%に低下、依然として筆頭株主に留まるとはいえ、日本電気硝子は持ち分法適用会社から外れた。

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