葉加瀬マイ 2018年11月29日号

国民の新祝日 「山の日」夏の登山ベーシック入門(2)

掲載日時 2016年08月13日 14時00分 [エンタメ] / 掲載号 2016年8月18日号

 非常時の連絡手段としては今では携帯電話が主流で、通信可能範囲は山中にも広がっている。登山の前には少なくとも地元警察・消防の連絡先ぐらいは登録しておきたい。また、電波が不安定な場所でもSNSに情報を上げておけば状況次第で外部に伝わることもあるので、事前にそうした回路を準備しておくことも大切だ。
 ただし、むやみに連絡を取ることが余計な混乱を招くこともある。
 先の濃霧で遭難した松坂さんも、5人のパーティーメンバーがそれぞれ家族に状況報告をしたところ、何人かの家人が独自に地元消防や警察に捜索願を出したことで情報の混乱があったという。
 「きちんと地元警察とは連絡が取れていたのに、他方では行方不明だとして捜索隊の準備がなされたりして、各所にご迷惑をお掛けしました」(松坂さん)
 無駄に電話を使えば、いざというときにバッテリー切れとなる危険性もあり、その点にも注意が必要だ。

 最近では「トレッキング」という言葉も広がりつつある。登山との明確な区別はないが、ザイルやアイゼンなど特殊装備を必要とする本格登山に対し、トレッキングは山頂にこだわらない山歩き、軽登山のニュアンスで言われることが多い。
 とはいえ、これもやはり甘く考えてはならない。
 「旅行会社の主催するトレッキングツアーに参加したのですが、他の参加者の1人が岩場で転んで骨折したんです。だけどツアーガイドは素人丸出しでオロオロするばかり。何も対処ができないんですね。たまたま通り掛かったベテラン登山者が世話してくれたからよかったんですが…」(佐川恵子さん=仮名・60歳)

 もちろんツアー会社のすべてがいいかげんなわけではないが、夏山の登山ツアーでは'09年に9名の死者を出した『トムラウシ山遭難事故』の例もある。まさかのときには自力で対処できるよう、たとえガイド同伴のツアーであっても万全の準備を整えたい。
 「山の遭難で一番多いのが道迷いで、これはトレッキングであっても起こり得ます。そのときになって困らないよう、せめて地図の読み方、コンパスの使い方ぐらいはマスターしておきたいものです」(登山ガイド)

 近年は外国人登山者も増えている。特に以前から登山が人気の韓国からは、国内に2000メートル超の高山がないこともあり、これを求めて来日する登山者が多い。
 「これまでは韓国から近い九州の山が人気でしたが、この夏は熊本地震の影響からこれを避ける傾向にあり、日本全国の山々で韓国人登山者の増加が見込まれます」(山岳ジャーナリスト)

 これを機会に国際交流というのもいいが、逆にマナーの違いからトラブルを起こさないよう、その点も心に留めておきたい。

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