専門医に聞け! Q&A 胃潰瘍との長い付き合い…

健康・2010/12/13 11:00 / 掲載号 2010年12月16日号

 Q:転職して半年になります。初めての業界で、ストレスがあるためか、胃潰瘍になって慢性化しています。普段は市販の抗潰瘍薬を服用しています。服用をやめたいと思うのですが、服用をしないでいると痛みがぶり返します。何かよい療法はないでしょうか。アドバイスをお願いします。(保険会社勤務・35歳)

 A:ご質問の方は、転職して業界を移ったとのことですから、慣れない業務がストレスになって、それが胃潰瘍発生の原因になったものと思われます。
 現在では、胃潰瘍の原因はヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)という細菌との考え方が定説になっていますが、発症の引き金になるのはストレスです。
 新潟大学大学院教授の安保徹先生は、ピロリ菌や胃酸が胃潰瘍の一義的な原因ではないとし、「慢性的な身体または精神的なストレスのため、交感神経優位になり、リンパ球が減少し、顆粒球が増える。増えた顆粒球は胃粘膜を攻撃して潰瘍をつくる」と述べておられます。
 実際、胃潰瘍の組織には顆粒球が集まっているのが確認できます。

●上手に薬とつき合おう
 胃潰瘍の薬は抗潰瘍薬といわれ、胃酸の分泌を抑え、傷ついた胃粘膜を修復させようとするものです。市販の胃潰瘍の薬の中でも、H2ブロッカーは胃酸を強力に抑え、それによって胃潰瘍の発生を抑えてくれます。ちなみに、H2ブロッカーの作用として、胃酸低下のほかに顆粒球の減少があります。
 そのため、ご質問の方のように、服用を中止すれば、胃潰瘍の発生が起こります。
 このタイプの人は、H2ブロッカーと数年はおつきあいするしかないでしょう。数年たてば、現在の状況も変わるでしょうし、ストレスにそれなりに対応できるようになるはずです。実際、そういう経過をたどって薬を止められる人もそこそこおります。

●シメジチンという薬も
 ご質問の方は転職して1年とのことですが、仕事に慣れてくるにつれ、ストレスも減ってきているのではないでしょうか。ただし、性格的にどうしても合わない仕事であれば、ストレスは減るどころか、ますます増すでしょう。もしそうであれば、転職を考えることも必要ではないでしょうか。
 それはともかく、2〜3年は継続して服用することを前提として、時には服用量を半分にしてみて、それで症状が出なければ止めてみるなど、トライ&エラーでやってみてください。
 H2ブロッカーと呼ばれる胃酸抑制剤で最も古いタイプのシメジチンという成分の薬は、抗がん的な作用も外国では報告されています。
 私は、H2ブロッカーが必要な患者さんにはこの薬を処方しています。

牧 典彦氏(アレルギー専門医)
患者に適したベストな医療。自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を模索。現在、牧病院(保険診療・大阪市旭区)、牧リハビリテーション病院(自由診療・大阪府門真市)で勤務。

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