菜乃花 2018年10月04日号

「好きだけど別れましょう」意味深な言葉に翻弄された“母娘殺害男”(2)

掲載日時 2015年04月28日 17時00分 [事件] / 掲載号 2015年5月7日号

 このメールに困惑したのは井上の方だった。
 〈オレ、半年先までどんな気持ちで待っていればいいの。これじゃ、浮気されるより苦しいよ。別れたくない。一緒に苦しもう〉
 〈許したらダメよ。今は突き放してほしい。でも、そう言ってくれる井上君、本当に大好きだよ!〉

 つまり、好きなのか嫌いなのか、どっちなのか。純朴な井上は理解に苦しんだ。
 〈昨日抱きしめたり、キスしたりした意味は何だったの。戻ってこいよ、今!〉
 〈もうほっといて。井上君がいなくなったらどんなに嫌なのか、私が思い知るべきなの。今まで何度浮気しても許されてきた。自分が変わらなきゃ直らない。私を待ちたくなかったら待たなくていいから〉
 〈わかった。もう笑顔で別れよう。今後はない〉
 〈うん、わかったよ。でも、私は諦めないから。もっといい女になって、井上君のところへ行くからね〉

 こんな好意的なメールを送っておきながら、浮気相手と別れたという報告はない。気になった井上はメールアドレスを変え、匿名で和恵にメールを送った。
 〈オレだけどさ、あいつと別れたのか?〉
 〈アンタ誰?〉
 〈直樹のつれだよ。直樹と別れるなんて、最低だな〉
 〈アンタも最低だな。名前も名乗らないなんて。直樹と別れたからって、アンタになんか関係あるの?〉

 そうか。向こうとも別れたのか。それなら、脈はある。井上は喜んでメールアドレスを元に戻し、和恵に〈もう一度話し合おう〉というメールを送った。
 〈しばらくほっといてよ。自立するまで無理だから〉

 井上は和恵の意図を計りかねて、今度は恋敵本人を装ってメールを送った。
 〈直樹だけど、やっぱりやり直そう〉
 〈何でメアド変えたの?〉
 〈どうでもいいじゃん。そんなにあいつがいいのか?〉

 このメールに和恵は違和感を覚えた。勇気を出して元カレの吉川直樹に連絡を取ったところ、何の問題もなくメールが送れた。念のため、直樹の友人たちにも連絡したところ、誰一人として別れたことを非難する者もいなかった。
 〈さっきのメール、井上君でしょう。こんなことをするなんて最低ね!〉
 〈違う、オレじゃない〉
 〈もうバレてるわよ。私のことを探ろうとしたの?〉
 〈だから、それはオレじゃないって。和恵だって自分が言われたくないことは逃げるじゃないか。好きだけど別れるって言ったり、大人になるって言ったり、はっきり言ってオレ、どうしたらいいかわからない〉
 〈わかった。じゃあ、もうアドレスも消すから。浮気が最低だってことはわかってる。でも、名前出さずにメールってどうなの?〉

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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