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北朝鮮幹部処刑100人超え! 金正恩が暗殺に備える「影武者」たち

掲載日時 2015年12月11日 14時00分 [社会] / 掲載号 2015年12月17日号

 北朝鮮の金正恩体制発足後に処刑された幹部の数が「ついに100人に達した」と、韓国国家情報院傘下の機関が先ごろ明らかにした。今年の5月には正恩第一書記の最側近の一人、玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力相が、大口径の高射砲の的にされ“ミンチ”にされている。7月時点の処刑者数は70人といわれていたので、それ以降の約4カ月間で、さらに30人が刑場場の露と消えたことになる。

 そして今度は、2年前の12月に処刑された張成沢(チャン・ソンテク)氏に代わってナンバー2の座に就いた崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党中央書記が消えた。生死は不明だが、崔氏ほどのエリートが粛清されたとなると、これからは誰も正恩第一書記のそばに近づかないだろう。何しろ崔竜海氏の父は「建国の父」金日成主席の片腕だった革命第一世代の崔賢(チェ・ヒョン)国防大臣だ。
 「11月2日の党機関紙『労働新聞』が突然異例の長文社説を発表しましたが、その中に『信念は遺伝するものではない。信念を捨てた人間は、一時的に社会的地位と名声があっても歴史のゴミとして捨てられる』という記述がありました。ゴミとして捨てられたのは崔竜海という暗示です。つまり、革命を成し遂げた崔賢の信念は息子の竜海に遺伝せず、一時はナンバー2の地位を得たが、ゴミ野郎と判明したので消したというわけです。実に恐ろしい社会です」(北朝鮮に詳しい大学教授)

 こんな恐怖政治が敷かれていては、側近たちは粛清、処刑に対する恐怖心から第一書記に対して積極的に助言することを放棄し、無批判盲従を貫かざるを得ない。
 「崔竜海の粛清理由は、10月3日に竣工式が行われた朝鮮労働党創建70周年の記念事業『白頭山英雄青年発電所』に致命的な欠陥が見つかった責任を問われたものです。そもそも技術も資金も不足しているのに短期間での完成を命じた第一書記にこそ問題があるのに、工事のトップ責任者である崔に『最高指導者を“騙して”恥をかかせた』と言い掛かりをつけ、これが最高の重罪に値するという理由付けです。こんな理不尽な罪状でも、叔父の張成沢でさえ反論の余地はありませんでしたからね」(北朝鮮ウオッチャー)

 明日はわが身とパニックに陥った軍幹部が、捨て身のクーデターを起こしても何の不思議もないが、恐怖政治の下でも平静を装う北朝鮮の首都・平壌で今、金日成社会主義青年同盟が新たな抑圧を始めた。さながら日本の校則のような“ヘア狩り”だ。
 「男性は2センチ以下、女性は正恩夫人の李雪主(リ・ソルジュ)のような“おかっぱ”にするよう指示を受けた青年同盟の監視チームがハサミを持って見回り、長髪の若者を見つけるとその場で短く切ってしまうのです。とりわけ第一書記と同年代には、あの異様な“覇気ヘア”と呼ばれる横と後ろを異常なほど短く切り落とし、前と上だけを残すヘアスタイルが強要されており、こうした指示の影響で平壌市内の散髪屋や美容院はどこも満員。中には“一攫千金”を狙って、にわか理髪師に転身する市民も出てきているほどです」(同)

 国中や街中で、若者の誰もが覇気ヘアで歩いている情景を思い浮かべると、まるで『ウォーリーをさがせ』の逆バージョンのようで思わず吹き出す。しかし国中を覇気ヘアにする運動は、見方を変えればクーデターや暗殺に備えた高等戦術なのかもしれない。例えばアルカイダの指導者オサマ・ビン・ラディンを暗殺した米海軍特殊部隊が第一書記の平壌官邸を襲撃しても、覇気ヘアの130キロ男だらけでは「誰がターゲットか分からない」となるからだ。
 一方で、官邸を襲撃して第一書記を暗殺し、そっくりさんを指導者に担ぐ官邸クーデターが起きる可能性も出てくる。覇気ヘア奨励は、官邸クーデターを密かに計画している人民軍幹部に絶好のチャンスを提供しているかもしれない。

 ただし、覇気ヘア奨励も第一書記の“ドッペルゲンガー(自分とそっくりの姿をした分身)”増産にはつながらない。それは体重。北朝鮮の普通の若者が覇気ヘアに変身しても、体型が異なり、どう見ようと第一書記には見えないからだ。
 正恩第一書記の体重130キロに達するには、3食をたらふく食い、スイーツに果物、ジャンクフードなどの間食を間髪入れず腹に押し込み、夜は糖分の多いアルコール類をがぶ飲みし、食っちゃ寝のグータラ生活を送らなければ無理だ。そんな若者は北朝鮮ではまずお目にかかれない。いるとすれば、北朝鮮最高幹部らの子弟によるグループ『烽火組』だけだろう。彼らが覇気ヘアをした場合のみ、ドッペルゲンガーになり得るかもしれない。

 粛清をこのまま続けたとすれば、推理作家アガサ・クリスティのミステリー小説のように「そして誰もいなくなる」し、また社会が覇気ヘアだらけになれば、第一書記は、自身のドッペルゲンガーに抹殺される危険性が高まる。
 これが金正恩第一書記の推し進める「粛清」と「覇気ヘア」政策の行き着く先だろう。

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