葉加瀬マイ 2018年11月29日号

北朝鮮「水爆」実験が引き起こす“聖地”白頭山大噴火と大地震

掲載日時 2017年09月20日 14時00分 [社会] / 掲載号 2017年9月28日号

 韓国の聯合ニュースが9月5日、「豊渓里核実験場がある咸鏡北道吉州郡で、被爆したような症状を訴える人が出ている」と報じた。
 「豊渓里近くにある政治犯を収容する化城刑務所の政治犯たちが、防護服もなしに核実験場で強制労働させられています。豊渓里の核実験場は標高2200メートルの万塔山にあって、周辺住民の飲料水は、そこから得るしかなく、内部被曝による死者が出ると遺体は放射性廃棄物扱いされ、統制区域に埋められるという噂で、住民は、明日はわが身と怖がっているのです。実際、北朝鮮のウラン鉱山で働く労働者の平均寿命は、その他の地域に比べ著しく短いともいわれていますからね」(北朝鮮ウオッチャー)

 金正恩党委員長は核兵器開発を国民のための「自衛的措置だ」と言いながら、自国民の安全を著しく脅かしている。
 しかし、安全が脅かされているのは北朝鮮国民だけではない。今後も続く核実験が、豊渓里から直線で約100キロしか離れていない白頭山の噴火を引き起こすのではという重大な懸念が、日中韓など周辺国から指摘されているのだ。
 「米CNNは専門家の話を引用しながら、北朝鮮のこれまでの核実験で、その巨大な振動が地下のマグマに影響を与え、白頭山の噴火を引き起こす恐れもあるとの懸念を表明しています。ただし、米ジョンズ・ホプキンズ大学の北朝鮮分析サイト『38ノース』は今年5月、核実験が白頭山の火山爆発を誘発する懸念について『あり得ない』と否定していますが…」(在米日本人ジャーナリスト)

 北朝鮮で初めて核実験が断行されたのは、2006年10月9日だった。先日の通算6回目の実験までの10年間で、核開発技術そのものは急速に進歩しているのは間違いない。その代償として、あながち“あり得ない”とは言い切れない白頭山の脅威に不安を覚えたためか、金正日政権時代には英米研究者を招聘して国際観測を行っていた。
 「ところが、正恩政権になってからは行っていません。豊渓里の核実験場の1番坑道は1回目の核実験後に閉鎖。2番坑道で2回目から6回目の核実験が実施され、現在3、4番坑道が準備されています。『38ノース』は6回目の核実験後の5日、衛星写真の分析を基に実験場付近で実験後におびただしい地滑りが起きたことを明らかにしています。中国は、これ以上同じ場所で核実験を行えば、山そのものが陥没して放射性物質を放出する危険があると警戒を強めています。一方、白頭山は約1000年前に人類史上最大級の噴火を起こした火山で、吹き飛ばされた灰や岩石は遠く日本まで到達したといわれていますが、その実態についてはほとんど分かっていません」(サイエンスライター)

 韓国気象庁の発表では、核実験の規模はマグニチュード4.4。ウィーンに暫定事務局を構える包括的核実験禁止条約機関の国際監視システムによれば、世界100カ所以上の地震観測所が先の6回目の核実験で発生した地震波動を観測したという。また、連動して起きる大地震も危惧されている。
 今回の水爆実験は、それほど巨大かつ深刻なものだったのだ。

 もし白頭山が噴火したとすれば、どんな惨状が人類を襲うのか。
 「日本編纂の『日本紀略』によれば、今から1124年前の寛平5年(893年)に大噴火したとなっています。何しろ頂上に直径約4キロメートルのカルデラ湖が形成されたほどの大噴火ですから、その火山灰は約1100キロも離れた日本に降り注ぐほどでした。ひょっとすると、複数回、数年にわたり大噴火が繰り返されたのかも知れません。英ロンドン大学のハモンド博士は、その被害はこれまで考えられていたよりもはるかに大きかったと指摘しており、当時の噴火は最大で4500万トンもの硫黄を大気中に放出したと推察しています。同規模なら地球上の生命は壊滅的な被害を受けることになるでしょう」(地震学者)

 欧州では2010年に北アイスランドにある火山が噴火し、大量の火山灰の影響から欧州航空会社が飛行中止に追い込まれた。
 「白頭山の噴火は、核爆発を凌ぐエネルギーが外部に流出するため、コンピューター関連機材が使用できなくなります。数年は極東アジア周辺の飛行は困難です。多くの農産物の被害も出るので、食糧危機ばかりか、北朝鮮の国民は食糧を求めて韓国や中国の国境に殺到するでしょう。3代続いた金王朝は白頭山が噴火した日を期して、自然消滅することになるのです」(前出・ウオッチャー)

 白頭山は中朝国境にあり、標高は2744メートルで朝鮮半島では最高峰だが、それ以上に朝鮮民族にとって特別な山だ。民族の祖である檀君の出生地とされるからだ。韓国国歌の冒頭にも登場するが、北朝鮮の場合、この山を金日成主席の一族を神聖化するための“舞台装置”として利用し「白頭山の血統」なる奇怪な神話を創作し、金ファミリーを神聖不可侵なものとした。
 「北朝鮮は白頭山への崇拝を背景に『だから朝鮮半島を金一族が支配しなければならない』という飛躍した思想を掲げ、朝鮮統一を実現するために核・ミサイル開発を急いでいるのです。その結果で白頭山の噴火を誘発し『白頭山血統』を途絶えさせることになるとしたら、何とも皮肉ですね」(国際ジャーナリスト)

 金正恩は、わが矢でわが身を滅ぼすかもしれない。

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