葉加瀬マイ 2018年11月29日号

本好きリビドー(210)

掲載日時 2018年07月07日 15時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年7月12日号

◎快楽の1冊
『基地反対運動は嫌いでも、沖縄のことは嫌いにならないでください』 知念章 ワニブックスPLUS新書 880円(本体価格)

 ネット社会でSNSがすっかり浸透してきた現在、ようやく世間に曝されつつあるのが、沖縄で厄介なのは「基地の島」であることではなく問題が基地の外、基地外にある点だ。地縁血縁の濃く密着した地域だからこそ、地元県警ですら思い切った手段が取れないのをいいことに、高江で基地反対運動を繰り広げる集団の傍若無人の横暴ぶりは天下に明らか。法的根拠なき一般道の通行車両への私的検問は遂に救急車まで止めるなど目に余るものがある。なぜこれらが放置状態なのか?
 どうして反対運動家たちの横断幕にハングル(ちなみにハングルとは偉大な文字、を意味する朝鮮語なので、韓国語とも朝鮮語とも言いたがらない人が苦しまぎれに「ハングル語」と呼ぶのは単純な誤り)がやたらと目立つのか。本業が人材育成コンサルタントのはずの在日韓国人・辛淑玉氏がなぜ一連の行政への妨害を煽動するのみならず、ツイッターに得々と「〇月〇日、琉球独立」などとぶち上げられる背景に一体、何があるのか。これらの疑問を少しでも言葉に出して批判しようものなら、ヒステリックに「差別」、果ては「沖縄ヘイト」なる新語までひねり出し、公開討論の呼びかけには一切応じようとしない。揚げ句に「身の危険を感じて」ドイツに亡命――徹頭徹尾、根深く悪質な被害者根性=悪と非は常に他者にある発想しか垣間見られぬが、そういう輩の人権救済申し立てを丸呑みするBPO…。
 那覇出身の著者は沖縄の戦後史全体を問い直す作業を通じ、いかに教育とマスコミの刷り込みで県民の意識がゆがめられたか、徐々に本土との間に疎隔が生じたかを解きほぐしてゆく。沖縄は先の大戦で捨て石になどされておらず。だが、近い将来、その可能性への警鐘。(居島一平/芸人)

【昇天の1冊】
 今年は江戸が東京へと名称が変更になってから150年の節目の年だ。2年後にオリンピックが開催されることもあり、東京の源である「江戸」が再び注目されている。
 そんな時にタイムリーに発売されたのが『サライの江戸 江戸城と大奥』(小学館 1700円+税)。雑誌『サライ』のムックシリーズの1冊だ。江戸の成立に際して根幹をなした江戸城の歴史や内部構造、謎多き大奥の秘密のベールを剥いだ豪華版である。
 昨年、江戸幕府初代将軍・徳川家康の時代に築かれた江戸城の平面図『江戸始図(えどはじめず)』が奇跡的に発見された。その図面をもとにCG(コンピューターグラフィック)で天守を再現し掲載するという新しい試みをはじめ、城を中心に江戸が発展してきた経緯が詳細に解説されている。
 また、将軍とその妻・御台所の1日のスケジュール、仕事内容、食事、そして大奥で行われていた夜の営みの真実まで、膨大な資料から専門家たちが解説する。
 本誌読者が気になるのは、やはり大奥だろう。徳川家の血筋を絶やさず、後継者を“つくる”ために編み出されたハーレムが、世界でも類を見ない独自のシステムによって運営されており、将軍と女たちとの“床入り”の手順、数千人規模の奥女中の素顔や暮らしなど、知らなかった情報が満載だ。
 そして見えてくるのが、江戸城の成立が今の東京、いや日本の基礎となっている点。「歴史を知る」というより、日本と日本人を再発見できる1冊である。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

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