菜乃花 2018年10月04日号

バンドのファン同士でコンタクト SNSを漂流して殺された女(1)

掲載日時 2017年12月09日 23時00分 [事件] / 掲載号 2017年12月14日号

 川西憲之(24)は暴力的な父親と母親の間に生まれた。父親は短気で酒癖が悪く、母親に暴力を振るい、家庭で怒鳴り散らすため「鬼」と呼んでいた。5歳下の妹が生まれて間もなく離婚することになると、川西は母親以上に喜んだ。
 だが、母親もヒステリックなところがあり、川西が自分の思い通りに動かないと「死ね、死ね!」と怒鳴り散らした。川西は母親に愛されようと思うあまり、必死で優等生を演じた。
 母親が新しい彼氏と付き合うようになると、妹の面倒を1人で見た。母親は中2のとき、その男と再婚。そのストレスとともに、川西は学校では仲間外れにされるなど、いじめによるストレスも抱えていた。
 高校はトップの成績で入学し、代表者として式辞を読むほどだったが、不良生徒に目を付けられてパシリにさせられた。川西はこれらのつらい体験を自分の身に起きたことではないと思い込もうとし、自分の記憶から切り離して別人格に背負わせ、自己防衛に全エネルギーを使うような青春時代を送っていた。

 そんな中で知り合ったのが同級生の織田康代(24)だった。康代とは好きなバンドが同じで意気投合し、高校卒業間近には付き合うようになった。
 川西は地元芸大に進学したが、1年夏には中退。自宅に引きこもってイラストばかり描くようになった。そんな川西を康代が見捨てなかったのは、川西と全く同じ世界観を持っていたからだ。川西と康代が好きなバンドは「死と破滅」がテーマで、独特な歌詞の世界に2人は傾倒していた。それを具現化したイラストやグッズを作り、2人で販売して収益を上げていた。

 さらに2人はSNSを通じて同じバンドのファンたちとも交流を深め、そのうちの1人が高津美樹(21)だった。当時、彼女は遠方に住む女子高生だったが、同じようにSNSで知り合ったひと回り以上も年上の男と遠距離恋愛していた。
 美樹もまた、暴力的な父親と過干渉な母親に育てられ、バンドが奏でる退廃的な世界観に傾倒していた。彼女は常にSNSの世界を漂流し、次々と交際相手を変え、新たに付き合ったのが会社員の平松辰雄(25)だった。平松が川西たちの住む都市に転勤してくることになったので、美樹はそれに付いて行く形で同棲を始めた。川西と康代は数年来のメル友だった美樹に現実に会うことができた。

 「それならオレが働いている串カツ屋でバイトしないか。ちょうど人手が足りなくて困ってるんだよ」
 川西が働き口を斡旋したかと思えば、康代は「私たちがやってるバンドグッズを売るのを手伝ってよ」と誘い、美樹は2人のおかげでスムーズに地元デビューすることができた。

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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